優秀な人材の確保が年々難しくなる中、近年は採用ミスマッチを避けるため、リファレンスチェックを実施する企業が増加しています。
しかし、実際にリファレンスチェック実施するにあたり違法性はないのか、不安を感じる採用担当者は少なくありません。
そこで今回は、リファレンスチェックを候補者の同意なく勝手に実施した場合の違法性や実施する場合の注意点について徹底解説していきます。
この記事でわかること
- リファレンスチェックとは
- リファレンスチェックの違法性
- 違法性なく実施するための注意点
目次
- 1 リファレンスチェックとは?
- 2 リファレンスチェックと採用調査(バックグラウンドチェック)の違い
- 3 リファレンスチェックを採用企業が実施するメリット
- 4 リファレンスチェックを採用企業が実施するデメリット
- 5 リファレンスチェックでは候補者の情報をどこまで収集できる?
- 6 リファレンスチェック実施は違法?個人情報保護法に抵触するリスクは?
- 7 リファレンスチェックの外部委託は違法ではないが注意が必要
- 8 SNSで候補者の知り合いにリファレンスチェックを依頼するのは違法か
- 9 リファレンスチェックを拒否された場合の対処法は?
- 10 リファレンスチェックのトラブル・違法性を避けるために注意すべきこと
- 11 リファレンスチェックの企業事例
- 12 リファレンスチェックサービス3選|違法性なく実施できる
- 13 リファレンスチェックに関するQ&A
- 14 リファレンスチェックは候補者から同意を得て違法性なく実施しよう
リファレンスチェックとは?
中途採用での採用担当者の最大の悩みは、面接で採用候補者の全てを掴みきれないことでしょう。
その解決方法の1つとして実施されるのがリファレンスチェックです。
実際にどのような内容を実施するのか確認していきましょう。
リファレンスチェックとは
リファレンスチェックとは、企業の中途採用で採用候補者の前職・現職に対して実施される調査を指します。
確認にあたって依頼先(推薦者)となるのは、前職・現職の上司や同僚などの第三者で、採用候補者の勤務状況や人柄といった内容についてのヒアリングを行います。
企業は面接時の内容や職務経歴に詐称がないかをチェックするとともに、一緒に問題なく働き得る人物かどうかも確認します。
近年はリファレンスチェック専門サービスで実施されることが多く、採用候補者の情報について裏付けを取るのが主な目的です。
以下の記事では、リファレンスチェックの実施メリットや実施の流れなどを解説しています。ぜひご覧ください。
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リファレンスチェックと採用調査(バックグラウンドチェック)の違い
採用担当者の中には「採用調査(バックグラウンドチェック)」と「リファレンスチェック」の違いにピンと来ない方もおられるでしょう。
どちらも採用に向けての調査ではあるものの、本質的な目的に大きな違いがあります。
リファレンスチェックと採用調査(バックグラウンドチェック)の違い
リファレンスチェックの大きな目的は、経歴詐称のチェックとともに「採用候補者と採用企業の相性」を確認することに重点が置かれています。
前職での実績、勤務態度や人柄など、書類や面接で見えづらい部分を補完する役割も兼ねているのです。
対して、採用調査(バックグラウンドチェック)は「背景調査」とも言われ、経歴詐称だけでなく「学歴」「犯罪歴」「破産歴」「反社チェック」「訴訟記録」などの調査も含め幅広く行われます。
信用調査のような、採用企業の不利益になる人物を事前に洗い出すことが主な目的と言えるでしょう。
採用企業自身で実施するケースはほぼなく、調査会社へ委託するのが一般的です。
バックグラウンドチェックのメリットや実施方法などについては、以下の記事では詳しく解説しています。
バックグラウンドチェック(採用調査・身辺調査)とは?内容や実施方法を解説
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リファレンスチェックより採用調査(バックグラウンドチェック)は違法性が高い
採用調査(バックグラウンドチェック)は、調べる内容が業務と関わりのないプライベートなものにも及ぶため違法性が高いです。
採用する立場からすれば、犯罪歴や訴訟記録を知りたいと考えるのも当然のことでしょう。
しかし、職業安定法5条の4第1項では「業務の目的達成に必要な範囲内」でしか個人情報の収集は認められていません。
採用調査(バックグランドチェック)で収集する個人情報は、業務とは無関係なものが少なくないため違法性が高いとされます。
以上から、バックグラウンドチェックを実施する場合は専門サービスを利用することをおすすめします。
以下の記事では、バックグラウンドチェックの専門サービスをご紹介しています。
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リファレンスチェックの流れ|違法性なく実施する
ここでは、主流となっているオンラインのリファレンスチェックサービスの流れを紹介します。
【リファレンスチェック実施の流れ】
- 採用候補者へリファレンスチェックの説明・同意取得
- リファレンスチェックの質問項目決定
- 採用企業から採用候補者へリファレンスチェックの案内送付
- 採用候補者から推薦者へリファレンスチェック依頼
- リファレンスチェック実施
リファレンスチェックは、個人情報保護法の制約上、実施する旨の同意取得と書面の記録であることに留意が必要です。
以下の記事では、リファレンスチェックを実施する流れを詳しく説明していますので、参考にしてください。
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リファレンスチェック実施時の質問例|何を聞かれる?
実際にチェックを実施する際は、どのような質問をすれば良いのか分からない方も多いでしょう。
よくある質問としては次の通りです。
ともに働くうえで相性の良い人物かをチェックするため、勤務態度や人柄に重点が置かれます。
【リファレンスチェックの質問例】
- 候補者の業務はどのような内容だったか?
- 職務における実績は面接・書類と相違ないか
- 周囲とのコミュニケーションはどうだったか
- 候補者の長所と短所は何か
- 仕事をする上で協調性はあったか
- 候補者はどのような人柄か
- 候補者はパワハラやセクハラなどの問題行動がなかったか
- 責任感がどの程度あるか
- ミスがあればどのように対応をするか
- 機会があればまた採用候補者と働くことを希望するかどうか
また、昨今はリモートワークが普及してきたことから、「オンライン完結型」で実施できる安価なサービスを導入する企業が増加しています。
オンラインであれば採用候補者の情報を入力するだけで済み、得られる情報も増えるため主流となってきているのです。
以下の記事では、オンライン完結のリファレンスチェック専門サービスを10社ご紹介しています。
リファレンスチェックサービス10社の費用・特徴比較│代行会社も
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リファレンスチェックを採用企業が実施するメリット
前職・現職の関係者に対するヒアリングと聞くと、相手を疑っているようでネガティブに捉える採用担当者もいるのではないでしょうか。
しかし、リファレンスチェックを実施することは企業にとって多くのメリットがあります。
【リファレンスチェックのメリット】
- メリット1:採用候補者の経歴詐称を見抜く
- メリット2:採用企業と採用候補者のミスマッチを防ぐ
- メリット3:採用選考を効率化する
順に解説していきます。
リファレンスチェックのメリット1:採用候補者の経歴詐称を見抜く
リファレンスチェックを実施することにより、採用候補者の経歴詐称を見抜けます。
前職での実績や業務内容は採用候補者の自己申告である以上、事実かどうかを見抜くことは不可能です。
しかし、前職・現職の依頼先(推薦者)にヒアリングを行えば経歴詐称を事前に察知でき、採用企業としては安心につながります。
リファレンスチェックのメリット2:採用企業と採用候補者のミスマッチを防ぐ
採用担当者を悩ますのは採用候補者と企業のミスマッチです。
書類選考で経歴を確認して採用候補者を絞り込み、面接で志望動機や人柄を見極めるのは簡単ではありません。
いざ採用してみたら、ミスマッチが原因で離職してしまったケースは少なくないのです。
その点、リファレンスチェックは予め採用候補者の適性・相性を見極めるのに効果的な手法と言えるでしょう。
リファレンスチェックのメリット3:採用選考を効率化する
リファレンスチェックを取り入れれば採用選考を効率化できます。
採用選考プロセスは採用担当者や受け入れ先となる部署に大きな負担がかかります。
書類選考、面接、内定通知後の受け入れ準備から入社後の育成まで、多くの工数と人員を要します。
しかし、リファレンスチェックを候補者のスクリーニングとして活用することにより、選考の工数削減がつながります。
リファレンスチェックを採用企業が実施するデメリット
採用候補者をよく知る人物から、客観的な評価を得ることができるリファレンスチェック。しかし、説明不足や実施方法などによってデメリットが生じることもあります。
ここでは、リファレンスチェックのデメリットを説明します。
【リファレンスチェックのデメリット】
- デメリット1:候補者から敬遠される
- デメリット2:実施コスト・時間がかかる
順に解説していきます。
リファレンスチェックのデメリット1:候補者から敬遠される
採用候補者は、現職企業に転職活動を伏せていることが大半のため、現職企業の上司や同僚が推薦者となるリファレンスチェックは敬遠されることが多くあります。
リファレンスチェックは、採用ミスマッチを防ぐ目的であることを十分に説明することとともに、採用候補者が依頼しやすい推薦者を柔軟に決定することでデメリットを軽減できるでしょう。
リファレンスチェックのデメリット2:実施コスト・時間がかかる
リファレンスチェックは、外部サービスを活用することが主流となっています。
一般には、早い選考段階で実施するほど、対象人数の増加によりコストも増大するほか、リファレンスチェックの実施期間により選考が長期化することが多くあります。
オンライン型のリファレンスチェックサービスであれば、リーズナブルな料金体系で、かつ所要期間が短く選考期間に影響が少ないサービスが大半です。
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リファレンスチェックでは候補者の情報をどこまで収集できる?
リファレンスチェックは、採用ミスマッチ防止を目的に、採用候補者をよく知る上司や同僚などからヒアリングする調査です。
上司や同僚を推薦者としたヒアリングのため、推薦者が知りうる情報が全てとなり、主に次の情報を収集可能です。
【リファレンスチェックで収集可能な情報】
- 職歴や経歴
- 退職理由
- 人物像
- パワハラやセクハラなど問題行動の有無
- 職務能力やスキル
- 採用候補者が活躍するための配慮事項
職歴や学歴はもちろん、候補者の実績やスキル、前職でのパワハラ・セクハラなどのハラスメントに関しても調査される場合があります。
採用前の見極めから入社後のオンボーディングまで、リファレンスチェックで得た情報を活用することができます。
職業安定法では採用調査における収集情報が規制されている
公正な採用選考を目的に、職業安定法では差別につながる可能性のある信仰や本籍地などの情報取得は、原則として認められていません。
具体的には、職業安定法第5条の4(求職者等の個人情報の取り扱い)の指針で、次のとおり制限されています。
- 人種、民族、社会的身分、門地、 本籍、出生地その他社会的差別の 原因となるおそれのある事項
- 思想及び信条
- 労働組合への加入状況
公正な採用選考の下、職業安定法で収集が制限されている情報を違法に収集しないよう、注意が必要です。
リファレンスチェック実施は違法?個人情報保護法に抵触するリスクは?
リファレンスチェックを実施するうえで、採用担当者が最も気になるのは違法性の有無でしょう。
採用候補者の個人情報を取得する行為となるため当然の疑問です。
それでは、どういったケースで違法となるのかを見ていきましょう。
リファレンスチェック自体が違法になる法律はない
リファレンスチェックは、個人情報保護法の適用を受けますが、仕組み上、法律の制約の下で実施をすれば、リファレンスチェック自体が違法になる法律はありません。
採用候補者からのリファレンスチェック実施の同意取得、外部サービスを利用する際の第三者提供同意など、法律の定めを実施していない場合に違法の問題が生じます。
リファレンスチェック実施の際は、個人情報保護法などの法令に応じた手続きとなっているか、予め弁護士などの専門家にリーガルチェックを受けることをおすすめします。
リファレンスチェックを採用候補者の同意なしで実施すると違法
法律ではリファレンスチェックそのものは禁止されていません。
しかし、採用候補者に関する情報は個人情報保護法における「個人データ(※1)」に該当するため、本人の同意を得ずに実施した場合は違法です。
第四章 個人情報取扱事業者の義務等
第一節 個人情報取扱事業者の義務
(利用目的による制限)
第十六条 個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。
2 個人情報取扱事業者は、合併その他の事由により他の個人情報取扱事業者から事業を承継することに伴って個人情報を取得した場合は、あらかじめ本人の同意を得ないで、承継前における当該個人情報の利用目的の達成に必要な範囲を超えて、当該個人情報を取り扱ってはならない。
また、依頼先(推薦者)の企業もコンプライアンスがしっかりしている企業であれば、採用候補者本人の同意を確認できない以上、個人情報の提供を拒否するはずです。
なぜなら、本人の同意を得ずに、個人情報を第三者に伝えることも違法となるためです。
※1個人データ:個人情報取扱事業者が管理する個人情報データベース等(特定の個人情報を検索できるように体系的にまとめられたもの)を構成する個人情報。たとえば、散らばった名刺を整理して、特定の個人を検索できるように五十音順でまとめれば、個人情報データベースに該当すると言えるでしょう。
候補者の許可なくリファレンスチェックを実施することの違法性などについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
リファレンスチェックを候補者の許可なく勝手に実施してよいのか?【リスクと依頼のコツを徹底解説】
人物像や働きぶりなど客観的な評価を知るため、採用候補者をよく知る人物に照会するリファレンスチェック。しかし、採用候補者にとっては実施のハードルが高く断られることもあります。 ここでは、リファレンスチェ ...
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リファレンスチェックで内定取り消しは違法になるケースも
採用候補者に内定通知を行っておきながら、リファレンスチェックを理由に内定を取り消すと違法になります。
そもそも雇用契約は、採用候補者に内定通知を行った時点で成立しているものと法律的には解されています。
なぜなら、採用候補者は内定通知を受けた時点で、現在勤めている会社の退職準備や他企業の選考辞退などを進めるからです。
そのため、内定取り消しは「解雇」にあたり、労働契約法第16条における「解雇権の濫用」についての規定が適用されます。
解雇が可能なのは「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当である」と認められる場合のみです。
リファレンスチェックを理由とした内定取り消しが可能と思われる事情は、経歴詐称や前職で重大な懲戒処分を受けている場合でしょう。
人柄や仕事ぶり、または前職を解雇されているといった事情では、解雇相当と認められる可能性は低いです。
以下の記事では、リファレンスチェック実施による内定取り消しについて詳しく解説しています。
リファレンスチェックで内定取り消しは違法!?関連法を踏まえて解説
リファレンスチェックは、日本の転職市場では馴染みがありませんが、外資系企業を中心に前職調査の裏付けや雇用のミスマッチを防ぐ手段として、近年注目されています。 リファレンスチェックを実施する前のよくある ...
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リファレンスチェックの外部委託は違法ではないが注意が必要
リファレンスチェックの外部委託は違法ではありません。
ただし、個人情報保護法上、リファレンスチェックを外部委託する際、委託元である採用企業には委託管理責任が生じます。
個人情報保護法第22条(委託先の監督)などによって、個人情報の漏えい、滅失防止などの安全管理のため、個人情報取扱事業者としての委託管理義務が課せられています。
委託先がコンプライアンス体制が整っていない場合、手続きの瑕疵や取得が制限されている情報を取得するなど、委託先の法的瑕疵について、委託管理責任を問われる可能性があります。
リファレンスチェックは、法的手続きが仕組み化されているオンライン型のリファレンスチェックサービスを活用することをおすすめします。
SNSで候補者の知り合いにリファレンスチェックを依頼するのは違法か
法的制約の範囲で実施することは違法に当たりませんが、法的知見が浅い一般の方が実施する場合は違法行為に当たりやすいといえます。
採用候補者のSNSを無断で調査することは、プライバシー侵害にあたるほか、個人情報保護法や職業安定法に抵触する可能性があります。一般の方の場合、法的手続きを失念する可能性も高く、法令遵守の観点から避けるべきでしょう。
リファレンスチェックを拒否された場合の対処法は?
何らかの事情で、候補者から拒否されることもあるリファレンスチェック。
ここでは、リファレンスチェックを拒否された場合の対処法を説明します。
【リファレンスチェックを拒否された場合の対処法】
- 対処法1:拒否された理由をヒアリングする
- 対処法2:提出書類を工夫する
- 対処法3:違う方法で候補者の情報収集をする
順に説明していきます。
対処法1:拒否された理由をヒアリングする
候補者がリファレンスチェックを拒否する理由は必ずあるものです。
多くの候補者は、現職企業に伏せて転職活動をしているため、内定前に実施されるリファレンスチェックを上司や同僚に依頼することが難しいケースが大半です。
上司や同僚への依頼が困難な場合、候補者をよく知る他部署の者、あるいは前職企業など、候補者の事情に合わせてリファレンスチェックの依頼先を配慮することが有効です。
対処法2:提出書類を工夫する
上司や同僚以外であっても、リファレンスチェックの依頼が困難な場合、他の方法として提出書類を工夫することがあげられます。
候補者から次の書類を貰い受けることで、リファレンスチェックの目的の一つである経歴詐称の判断に役立てることができます。
【工夫する提出書類例】
- 退職証明書
- 雇用保険被保険者証
- 卒業証明書
- 源泉徴収票
- 年金手帳
候補者からこれらの書類を提出してもらうことで、前職や学歴の真偽を一定の範囲で確認することが可能です。
対処法3:違う方法で候補者の情報収集をする
経歴詐称以外の目的で、リファレンスチェックによらない方法は、次の手段が効果的です。
【違う方法の情報収集手段】
- 採用面接の工夫
- 適性テストの実施
採用企業の企業風土や行動規範など、候補者とのマッチ度合いを確認するなど採用面接を工夫することで、採用ミスマッチの防止に役立てることが可能です。
候補者の適性が採用企業のカルチャーや組織に合うかを確認する手段として、適性テストを実施することも有効でしょう。
リファレンスチェックのトラブル・違法性を避けるために注意すべきこと
企業がリファレンスチェックを実施する際は、いかなる場合も法に則って行う必要があります。
違法とならないよう、以下の3点に注意しましょう。
【リファレンスチェック実施の注意点】
- 採用候補者の同意を得る
- 取得した個人情報を適切に扱う
- 内定前に実施する
順に解説していきます。
リファレンスチェック実施の注意点1:採用候補者の同意を取る
すでに述べた通り、採用候補者の同意なくチェックを実施することは、個人情報保護の観点から違法です。
実施する際は必ず採用候補者から承諾を得てください。
ただ、採用候補者の中にはリファレンスチェックが何かを知らず、抵抗を感じる方も少なくありません。
どのような調査が行われるのか、不安に思う方が出てくるのは当然のことでしょう。
そのため、採用担当者は実施目的や調査の進め方を分かりやすく説明する必要があります。
口頭だけでなく文書にまとめるなど、採用候補者の理解が得られるよう努めましょう。
万が一リファレンスチェック実施を拒否されてしまった場合の対処法は以下の記事で解説しています。
リファレンスチェックを拒否された場合の対処法【採用企業向け】
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なお、採用企業がリファレンスチェックを調査会社に外部委託するのであれば、調査会社へ個人情報を提供することにも同意してもらわなければなりません。
企業自身で実施する場合と外部委託する場合のいずれのケースでも、採用候補者から得た同意は必ず文書などで保管することをお勧めします。
リファレンスチェック実施の注意点2:取得した採用候補者の個人情報を適切に取扱う
リファレンスチェックで取得した採用候補者の個人情報は、個人情報保護法の規定を遵守して適切に取り扱わなければなりません。
そのためにも、採用企業側は十分な体制を構築する必要があります。
具体的には、関係部署において「個人情報の安全管理」や「従業員や委託先への監督」などが挙げられます。
個人情報の取得・利用に関するルールを周知徹底したうえで、情報漏洩が生じないよう保管管理を厳しく行わなければなりません。
リファレンスチェック実施時の注意点3:採用内定前にリファレンスチェックを実施する
リファレンスチェックの結果を理由に内定取り消しを行うと、違法と判断される可能性が高いのはすでに触れた通りです。
明らかな経歴詐称があれば別ですが、人柄やミスマッチなどは理由になりません。
トラブルを事前に回避するためにも、内定通知はリファレンスチェックを実施し、問題がないことを確認できてから行うのが安全です。
リファレンスチェックの企業事例
リファレンスチェックは外資系企業を中心に導入が進んでいましたが、近年では日系企業でも実施企業が増えています。
多くの企業は、採用ミスマッチ防止を目的としてリファレンスチェックを実施しています。
一般的には最終面接〜内定のタイミングで実施されることが多いようです。
次のような企業もリファレンスチェックを実施しています。
【リファレンスチェックの企業事例】
- 楽天
- pwc
- Amazon
- Smart HR
こちらの記事ではリファレンスチェックの企業事例を詳しく解説しています。
楽天・SmartHR・PayPayなどリファレンスチェック実施企業の実態とは?【日系企業の導入事例付】
近年、認知度の高まりから注目されつつあるリファレンスチェック。 また、Web面接の浸透に伴い、採用候補者を見極めたいとのニーズから、日系企業でもリファレンスチェックを導入する企業が増えつつあります。 ...
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リファレンスチェックサービス3選|違法性なく実施できる
リファレンスチェックの専門サービスであれば、候補者から同意を得て実施するというフローが仕組み化されているため、違法リスクを軽減できます。
主なリファレンスチェックサービスは以下のとおりです。
【主要なリファレンスチェックサービス】
- Parame Recruit
- back check
- ASHIATO
リファレンスチェックサービスは価格や仕組みがさまざまですが、検討の際には以下のポイントを抑えると良いでしょう。
- 初期費用の有無
- 本人確認の認証機能
- バックグラウンドチェックの併用可否
以下の記事では、リファレンスチェックサービス10社を比較しています。
リファレンスチェックサービス10社の費用・特徴比較│代行会社も
採用ミスマッチを防ぐリファレンスチェックですが、さまざまな種類のサービスがあり、どういった観点で比較すれば良いのかわかりづらいのではないでしょうか? 本記事ではリファレンスチェックサービスを検討するう ...
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リファレンスチェックに関するQ&A
最後に、リファレンスチェックに関するよくある質問に回答していきます。
リファレンスチェックで同意書は必要?
リファレンスチェックは、個人情報を取り扱うため法律の適用を受けます。
個人情報保護法第17条(適正な取得)などに抵触しないよう、採用候補者からリファレンスチェック実施の承諾を得ることが不可欠てす。
必ず書面、またはデータで同意を得た旨のエビデンスを残してください。
リファレンスチェックで前職のパワハラは調査できる?
リファレンスチェックは、前職の上司や同僚など候補者に近い複数の関係者からヒアリングする調査です。
前職でパワハラの実態がある場合、候補者に近い関係者であれば、事実を把握しているものです。
とくに、リファレンスチェックの推薦者が上司であれば、パワハラの実態を調査できる可能性は極めて高いといえます。
リファレンスチェックは候補者から同意を得て違法性なく実施しよう
リファレンスチェックは、採用候補者に経歴詐称がないかチェックするとともに、採用企業との相性を確認するための有効な手段です。
しかし、採用候補者の同意を得てから実施しなければ違法となります。
また、リファレンスチェックの結果を理由に内定を取り消すことも、違法と判断される可能性が高いです。
これからリファレンスチェックを実施する予定の企業や採用担当者は、個人情報を遵守しつつ、違法性のない体制を整備する必要があります。
そのうえで適切に運用し、自社にマッチした人材を採用していきましょう。
はじめてのリファレンスチェックなら「Parame Recruit」
リファレンスチェックは実施の流れや準備が煩雑であるため、多くの企業が専門のオンラインサービスを導入しています。
なかでも、リファレンスチェック専門サービス「Parame Recruit」なら、リファレンスチェック実施に必要な機能がすべて揃っているため、はじめてでも安心です。
Parame Recruitの特徴は以下のとおりです。
【リファレンスチェック専門サービス「Parame Recruit」】
- 経済産業省・JETROから優秀事業として認定
- 質問のテンプレート・推薦者の本人認証など、必要な機能が全て揃っている
- 価格は1回あたり1万円〜と導入しやすい価格
他社の場合、リファレンスチェックを短期間に数多く実施することを想定した価格設定ですが、Parame Recruitなら低価格かつ単発で利用できるため、柔軟な運用が可能です。
リファレンスチェックがはじめての採用企業様やより柔軟な運用をご希望の方は、ぜひParame Recruit の導入をご検討ください。