リファレンス先として、採用候補者の上司や同僚の複数を指定することが必要なリファレンスチェック。
外資系企業は一般的に実施していますが、日系企業ではあまり浸透していませんよね。
ここでは、リファレンスチェックを誰に実施すべきかとともに、リファレンスチェックを拒否された場合の対処方法について、解説します。
この記事でわかること
- リファレンスチェックとは
- 採用企業がリファレンスチェックを実施するメリット・デメリット
- リファレンスチェックの推薦は誰に依頼すべきか
- リファレンスチェックの推薦が拒否された場合の対処法
目次
リファレンスチェックとは?
リファレンスチェックとは「採用候補者をよく知る人物から、人物像・スキルなどを調節ヒアリングする調査」です。
外資系企業などでは一般化していますが、日系企業の採用担当者は「名前は聞いたことはあるが、具体的なやり方がわからない」という方も多いでしょう。
そこで以下では、リファレンスチェックを実施する流れやメリット・デメリットなどを説明します。
リファレンスチェックとは
リファレンスチェックとは、上司や同僚など、候補者に近い関係者から人柄やスキルなどをヒアリングする採用調査です。
第三者から候補者の客観的な情報を得ることで、面接では見抜くことができないスキルや行動特性、人物像などを把握することができます。
候補者からレジュメや面接で確認した経歴やスキルの真偽を確認することや採用ミスマッチ防止が実施の目的となります。
以下の記事では、リファレンスチェックの実施メリットや実施の流れなどを解説しています。
リファレンスチェックとは?質問内容・メリット・実施方法を解説!
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採用企業がリファレンスチェックを実施する流れ
リファレンスチェックは、採用候補者から同意を得ずに実施すると個人情報保護法第16条(利用目的による制限)、個人情報保護法第23条(第三者提供の制限)などに抵触するため、違法となる恐れがあります。
適法に実施するため、採用候補者の同意を得て、次の流れで実施します。
候補者がリファレンスチェックの推薦者に依頼する場合、実施の流れは以下のとおりです。
【リファレンスチェックを実施する流れ】
- リファレンスチェックの同意取得(採用企業→採用候補者)
- 推薦者の決定、依頼(採用候補者→候補者)
- リファレンスチェックの実施(企業→推薦者)
順に解説していきます。
リファレンスチェックの同意取得(採用企業→採用候補者)
リファレンスチェックの目的・説明とともに、採用候補者から実施する旨の同意を得ます。
同意を得た旨は、書面かデータで記録する必要があります。
推薦者の決定、依頼(採用候補者→候補者)
採用候補者が推薦者を指定する、あるいは採用企業の指定によって推薦者を決定します。
採用候補者は、決定した推薦者にリファレンスチェック説明・同意を得ます。
オンラインサービスであれば、サービスの登録依頼、電話・対面であれば日程調整のうえで実施日を決定します。
リファレンスチェックの実施(企業→推薦者)
企業から推薦者にリファレンスチェックの質問内容を説明し、回答を得ます。
オンラインサービスであれば、期日までに推薦者に回答してもらいます。
リファレンスチェックについては以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
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採用企業がリファレンスチェックを実施するメリット・デメリット
雇用流動化が激しい昨今、採用候補者を見極めることの重要性から、採用企業から注目を浴びているリファレンスチェック。
ここでは、リファレンスチェックのメリット・デメリットを説明します。
採用企業がリファレンスチェックを実施するメリット・デメリットは以下のとおりです。
【リファレンスチェック実施のメリット・デメリット】
- メリット1:採用選考の効率化
- メリット2:採用企業と採用候補者のミスマッチ防止
- デメリット1:採用候補者に不審に思われる可能性がある
- デメリット2:コストがかかる
順に解説していきます。
リファレンスチェック実施のメリット1:採用選考の効率化
リファレンスチェックを選考フローとして実施することで、採用企業と相性が合わない採用候補者のスクリーニングが可能です。
採用候補者を良く知る人物からの客観的な評価を得ることで、信憑性の高い情報をもって効率的な採用選考が実現できます。
リファレンスチェック実施のメリット2:採用企業と採用候補者のミスマッチ防止
リファレンスチェックは、採用候補者を良く知る複数の推薦者に実施するため、面接や応募書類では計り知れない以下のような情報を得ることができます。
- 本質的な退職理由
- 日頃の勤務態度
- 採用候補者が力を発揮しやすい環境
上記のような入社後のオンボーディングに活用できる情報も得ることができ、雇用のミスマッチ防止に役立てることが可能です。
リファレンスチェック実施のデメリット1:採用候補者に不審に思われる可能性がある
リファレンスチェックは、採用調査という性質上、採用候補者からネガティブにとらわれることがあります。
推薦者として、上司や同僚に依頼することの心理的ハードルが高いことも起因するでしょう。
リファレンスチェック実施のデメリット2:コストがかかる
リファレンスチェックは、オンラインサービスなどの外部サービスを活用することが一般的で、実施にはコストがかかります。
選考フローのどの段階で実施するかによって、実施コストも変わります。
選考の初期段階で実施すれば、その分実施コストが増加します。
面接では深堀質問ができるメリットもありますが、選考の後期段階で実施すれば、コストを抑えることが可能です。
リファレンスチェックの推薦は誰に依頼するべきか
採用候補者は、一般に転職することを伏せて転職活動をしています。
リファレンスチェックは、採用候補者にとってハードルが高く、転職に根強い反対が見込まれる場合は、推薦者の選定が難航することもあります。
ここでは、リファレンスチェックの推薦者を誰に依頼すべきかを説明します。
リファレンスチェックの推薦者として依頼すべき人物は以下のとおりです。
【リファレンスチェックの推薦を依頼すべき人物】
- 推薦を依頼すべき人物1:採用候補者の現職の上司
- 推薦を依頼すべき人物2:採用候補者の現職の同僚
- 推薦を依頼すべき人物3:採用候補者の現職の部下
順に解説していきます。
推薦を依頼すべき人物1:採用候補者の現職の上司
リファレンスチェックの推薦者としては、第一に依頼すべき人物です。
採用候補者を評価する立場にあり、リファレンス先としては最適な対象といえます。
しかし、採用候補者の転職に根強い反対が見込まれる場合は、異動前の上司に依頼するなど、採用候補者に配慮する事も必要です。
推薦を依頼すべき人物2:採用候補者の現職の同僚
リファレンスチェックは、複数の推薦者に依頼することが基本ですので、上司の次位として、現職の同僚が一般的です。
同僚は、上司が見えていない採用候補者の一面を捉えている事も多く、多面的な評価を得る上では、上司と同僚の双方から得ることが望ましいといえます。
推薦を依頼すべき人物3:採用候補者の現職の部下
採用候補者の転職に反対が見込まれる場合、推薦を上司や同僚に依頼することが難しいこともあります。
採用候補者の部下の場合、採用候補者に忖度することも考えらます。
推薦者としては望ましくないこともありますが、多面的な評価を得る観点では有用でしょう。
リファレンスチェックの推薦を依頼すべき人物【現職以外】
採用候補者の現職関係者に推薦を依頼することが困難な場合、現職以外の関係者に依頼することが考えられます。
ここでは、前職の関係者、採用候補者の顧客、友人などに依頼するケースを説明します。
現職以外でリファレンスチェックの推薦を依頼すべき人物は以下のとおりです。
【現職以外でリファレンスチェックの推薦を依頼すべき人物】
- 推薦を依頼すべき人物1:採用候補者の前職(前々職)の上司・同僚・部下
- 推薦を依頼すべき人物2:採用候補者の顧客・クライアント
- 推薦を依頼すべき人物3:採用候補者の大学時代の友人
- 推薦を依頼すべき人物4:採用候補者の大学時代の研究室の教授
順に解説していきます。
推薦を依頼すべき人物1:採用候補者の前職(前々職)の上司・同僚・部下
現職以外で、採用候補者の仕事ぶりをよく知る人物は、前職、あるいは前々職の職場関係者です。
現職関係者に推薦者を依頼することが困難な場合に優先すべき依頼先となります。
直属の上司に頼みづらい場合
候補者は、転職を伏せて活動していることが一般的です。
内定前に実施されるリファレンスチェックは、直属の上司に頼みづらいケースが多くありますが、その場合、前職の上司にリファレンスチェックを依頼することでも良いでしょう。
とは言っても、上司と部下というパワーバランスから、たとえ前職でも頼みづらいケースもあるでしょう。
その場合、組織上の上司でなくても、候補者をよく知る関係部署の目上のポジションの人に頼むことが考えられます。
推薦を依頼すべき人物2:採用候補者の顧客・クライアント
採用候補者の顧客・クライアントは、取引を通じて採用候補者の仕事ぶりを知る人物です。
ただし、取引の一面でしか評価ができないほか、取引先関係ないにも拘らず労力を割いてもらうことが望ましいとはいえません。
極力、前職、前々職の関係者を優先することが望ましいといえます。
推薦を依頼すべき人物3:採用候補者の大学時代の友人
大学時代の友人も採用候補者をよく知る人物です。
しかし、友人関係である以上、ネガティブな情報は得づらく、場合によっては、採用候補者から口止めされることも考えられます。
得られる情報は信憑性が薄いといえるでしょう。
推薦を依頼すべき人物4:採用候補者の大学時代の研究室の教授
大学時代の研究室の教授も採用候補者をよく知る人物ではありますが、教え子ということから採用候補者に忖度することもあるでしょう。
リファレンスチェックが終わったら協力者にお礼をする
リファレンスチェックは、候補者にとって一生を左右する重要な調査です。
ここでは、リファレンスチェック後の協力者へのお礼について紹介します。
【リファレンスチェック後の協力者へのお礼】
- リファレンスチェック実施後すぐにお礼する
- リファレンスチェックのお礼に何か渡すべき?
順に解説していきます。
リファレンスチェック実施後すぐにお礼する
リファレンスチェックは、候補者にとって一生を左右する重要な調査です。
協力者は、忙しいなか時間を割いて対応しますが、リファレンスチェックは、協力者自身の回答いかんで一生を左右しかねない、責任の重いものです。
大抵の協力者は、親身になって、時間・労力をかけて対応しています。
リファレンスチェックが終わったら実施の結果を待たず、すぐに協力者にお礼するべきでしょう。
リファレンスチェックのお礼に何か渡すべき?
リファレンスチェックの協力者へお礼する際、何か渡すべきか迷うケースもあります。
協力者の大半は、お礼の見返りを期待してリファレンスチェックに協力しているのではありません。
気持ちを伝える程度でも十分と思われます。
気持ちを表したいのであれば、菓子折りなど過度になりすぎないお礼をすることでも良いでしょう。
リファレンスチェックの推薦依頼が拒否される場合と対処法
リファレンスチェックの推薦依頼は、実施が嫌がられたり、環境によってさまざまな理由で拒否されることがあります。
しかし、リファレンスチェックの推薦依頼が拒否されたからといって、替え玉での対応などは難しいです。
ここでは、どのような場合に推薦依頼を拒否されるのか、拒否された場合の対処法について説明します。
リファレンスチェックの推薦依頼が拒否される場合
リファレンスチェックの推薦依頼を拒否されるケースは、「推薦者に拒否される」「採用候補者の現職企業に拒否される」に大別されます。
・推薦者に拒否される
「採用候補者に退職して欲しくない」「採用候補者との人間関係が悪い」「忙しくて時間がない」などによって、拒否されることがあります。
とくに、採用候補者に退職して欲しくない場合、快くリファレンスチェックの推薦者として、転職の後押しをすることに抵抗があることもあるでしょう。
・採用候補者の現職企業に拒否される
「採用候補者に退職して欲しくない」「個人情報保護を理由に回答できないとの一辺倒で断られる」などによって、拒否されることがあります。
リファレンスチェックは、一般的には浸透していないこともあり、個人情報保護法の誤った理解から断られることが多いこともあるでしょう。
リファレンスチェックの推薦依頼が拒否された場合の対処法
推薦者は、採用候補者の現職上司や同僚を優先することが望ましいですが、採用候補者の事情によっては困難なことがあります。
ここまで説明してきた推薦者の候補について、採用候補者の事情に合わせて推薦者を決定します。
推薦依頼が拒否された場合、改めて推薦者に誠意を持って依頼するとともに、リファレンスチェックの詳細説明、適法性など説明することが必要でしょう。
それでも拒否される場合は、採用候補者が依頼しやすい推薦者に依頼します。
ただし、なるべく前職、前々職の仕事関係者を優先しましょう。
リファレンスチェックの推薦を依頼すべき人物と依頼方法まとめ
リファレンスチェックは、仕事ぶりをよく知る現職の上司や同僚に推薦の依頼をすることが効果が高いといえます。
しかし、採用候補者の退職に根強い反対が見込まれるときは、推薦の依頼が困難なケースがあります。
それでも採用企業から現職上司や同僚に推薦者を強行する場合、推薦者のなりすましが行われることもあります。
極力、採用候補者の事情を鑑み、推薦者を一定の範囲で柔軟に指定できるように配慮し、採用企業と採用候補者の双方にとって、有益なリファレンスチェックを実施しましょう。
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