リファレンスチェックは、書類や面接だけでは分からない採用候補者の能力・人物像を知るのに役立つ採用選考手法です。
しかし、リファレンスチェックを頼まれた側は突然の依頼に困惑することも多く、どう対応するべきか迷ってしまうこともあるでしょう。
また「そもそも、リファレンスチェックがどんなものか分からない」「当たり障りなく回答するべきなのか、本音を言っていいのか迷ってしまう」という声も度々耳にします。
そこで今回は、リファレンスチェックの回答依頼を受けた場合の対処法を解説します。
いざという時に慌てず済むよう、参考にしてみてください。
この記事でわかること
- リファレンスチェックとは
- 採用企業がリファレンスチェックを実施する流れ
- リファレンスチェックの回答依頼を頼まれた際の注意点
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目次
リファレンスチェックとは?
まずは、リファレンスチェックとは何かという概要から、実施の意義や目的までを確認していきましょう。
リファレンスチェックとは?
リファレンスチェックとは、前職の上司や同僚に、採用候補者の業務実績や人物像を直接ヒアリングする採用選考手法です。
主に経歴詐称や採用ミスマッチの防止として活用されています。
外資系企業やIT企業で実施されることが多いですが、昨今は日系大手企業でもリファレンスチェックを実施するケースが増えています。
以下の記事では、リファレンスチェックの実施メリットや実施の流れなどを解説しています。
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リファレンスチェックとは?質問内容・メリット・実施方法を解説!
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リファレンスチェックは候補者の同意の上で実施される
リファレンスチェックは、採用候補者の同意の上で実施されます。
個人情報保護の観点から必ず同意を得て行うのが必須とされていますから、そうでないリファレンスチェックには答えないのが原則です。
同意が得られているのであれば、
「安易に個人情報を話してしまって大丈夫だろうか?」
と心配する必要はありません。
基本的には、あらかじめ先方の採用担当者もしくは採用候補者本人から連絡がきて、リファレンスチェックへの協力同意を求められることが大半です。
ある日突然連絡がきて、その場で根掘り葉掘り聞かれることはありませんので、安心してよいでしょう。
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リファレンスチェック実施時の違法性は?候補者の同意なく勝手に実施できる?
優秀な人材の確保が年々難しくなる中、近年は採用ミスマッチを避けるため、リファレンスチェックを実施する企業が増加しています。 しかし、実際にリファレンスチェック実施するにあたり違法性はないのか、不安を感 ...
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リファレンスチェックを企業が実施する場合の目的・効果
リファレンスチェックは、書類や面接だけでは分からない、採用候補者の能力・人物像を知るために行われます。
書類や面接でおよその経験や人柄は推察できても、実際に現場で一緒に働いてみるとイメージと違ったということは少なくありません。
期待していたような成果が得られず、コミュニケーションもしづらくなり、企業・候補者ともにデメリットの多い採用になってしまうでしょう。
リファレンスチェックは、このような採用ミスマッチを防ぐために有効な手法として確立されています。
リファレンスチェックを企業が実施する場合の流れ
ここでは、リファレンスチェックを企業が実施する場合の流れを紹介します。
どのようにリファレンスチェックが依頼されるのかも記しますので、目を通してみてください。
リファレンスチェックの実施方法と流れ①:電話の場合
リファレンスチェックは、電話で実施されることが多いです。
その場合、先方の採用担当者もしくは採用候補者本人から連絡がきて、まずリファレンスチェックへの協力可否を聞かれます。
協力すると回答した場合、いつヒアリングを行うかの予定調整を行います。事前に質問項目が渡されることもありますので、準備しておきましょう。
予定された日に採用担当者からの電話を受け、質問されることに回答すれば終了です。
リファレンスチェックの実施方法と流れ②:オンラインサービスの場合
近年、オンラインサービスでのリファレンスチェックも盛んになっています。
Web上で回答を求められる場合もありますので、指定されたオンラインサービスの使用方法を確認しながら進めます。
稀に、メールなど文書だけで回答を求められるケースもありますので、回答方法は事前に確認しておきましょう。
リファレンスチェック実施時の推薦者への質問内容
次に、リファレンスチェックで聞かれることの多い質問内容をいくつかピックアップ致します。
事前に質問項目が知らされることもありますが、傾向はしっかり掴んでおきましょう。
リファレンスチェック実施時の推薦者への質問①:学歴・職歴
まず、学歴や職歴に関する質問です。
過去の経歴に詐称がないか調べる意味合いが強く、特に入社年月と退社年月に関する質問が多くなるでしょう。
正確に記憶していない場合はその旨伝えても問題ありません。
リファレンスチェック実施時の推薦者への質問②:職務内容・役割
次に、職務内容や役割に関する質問です。
- 関わっていた仕事の内容
- 与えられていた役職や役割
- 一緒に働いていたメンバーの数
- 部下の人数
- 会社から期待されていたこと
上記のような質問されるケースが多いです。
職務経歴書と照らし合わせて矛盾点がないか調べたり、多角的な視点で過去の経験を把握したりするときに活用されます。
リファレンスチェック実施時の推薦者への質問③:実績
次に、実績に関する質問です。
担当していた仕事や部署によって質問内容は異なりますが、なるべく定量的な表現をするのがよいでしょう。
- 支店で〇位の営業成績だった
- 人件費を年間〇円削減した
- 顧客解約率を〇%にまで引き下げた
- リピーター率が〇%以上で、周りより10%ポイント以上高かった
- 管轄内の新卒退職率が3年連続0%だった
上記のような客観的な事実が分かるよう定量的に表すのがポイントです。
ただし、前職・現職の守秘義務に反する内容は漏らさないよう、注意しましょう。
リファレンスチェック自体は違法ではありませんが、自社の就業規則に違反しないよう、社外の人に話すべき内容は吟味しておくことが肝心です。
リファレンスチェック実施時の推薦者への質問④:会社からの評価
次に、会社からの評価に関する質問です。
下記のように転職後の企業で働く際に活かせそうな内容が良いでしょう。
- 営業の手腕が認められ、2020年に社内表彰された
- プロジェクトのディレクションが得意で、新規案件をよく任されていた
- 部下からの信頼が厚く、マネジメントに適した人材とみなされていた
- 取引先の信用を得るのが上手なのでよく経営層に同行していた
また、直近の人事評価の内容を伝えることも効果的です。
会社がどんな人材だとみなし、どんな仕事を任せようとしていたのか伝えれば、会社での立ち位置・周りからの評価が伝わりやすいかもしれません。
リファレンスチェック実施時の推薦者への質問⑤:人物像
最後に、人物像に関する質問です。
仕事に関することはもちろん、多少プライベートのエピソードを交えて伝えるのもよいでしょう。
例えば下記のような内容です。
- 人付き合いがよく、終業後によく部署や年代関係なく飲みに行っていた
- 休日は常に山登りしているくらいバイタリティーが強く、体力がある
- ミスや失敗があっても前向きに反省できるポジティブさがある
- 細かい数字の扱いが得意ではなく処理に時間がかかる傾向がある
- 期日の近い仕事が立て込むと優先順位を見誤ってしまうことがある
リファレンスチェックの回答方法・書き方【質問ごとにご紹介】
リファレンスチェックをオンラインで実施する場合、メールかオンラインサービスで回答をします。
ここでは、採用候補者の上司や同僚がリファレンス先として、リファレンスチェックを依頼された場合、オンラインでどのように回答をするか、質問ごとに紹介します。
質問例1:採用候補者はセクハラやパワハラなどのトラブルはありませんでしたか?
部下を叱責することはありました。
しかし、業務上、必要な指導範囲であり、パワハラに該当するような行為はありません。
セクハラに該当するような問題行為もなく、ハラスメントに関するトラブルは特にありません。
質問例2:採用候補者が苦手とする人物像はどのような人ですか?
採用候補者は、物事を論理的に考えるタイプなので、思いつきで判断を下すような非論理的なタイプは苦手のようでした。
また、物事を自ら組み立てて行動するタイプなため、細部まで監視・指示するタイプも苦手だと思います。
質問例3:採用候補者の貢献により、最も向上した実績値やKPIを教えてください
採用候補者は、新製品を定められた期日までに上市させるため、新製品プロジェクトのリーダーに抜擢されました。
期日までにプロジェクトを完遂させるため、プロジェクト管理を徹底するとともに、丁寧なメンバーのフォローをするなどにより、プロジェクトを成功させました。
リファレンスチェックの回答実施が面倒だと感じた場合
リファレンスチェックの回答は、多くの時間を割かれ、面倒だと感じることもあるでしょう。
とくに、電話やメールなどによるリファレンスチェックは、本人確認手続きなど煩雑であることから尚更です。
採用候補者にとって、自身が重要な合否に関わるように、責任が生じることを避けたいケースもあります。
リファレンスチェックが面倒だと感じた場合の対処法は、以下のとおりです。
リファレンスチェック依頼者に代替手段を提案する
リファレンスチェックの依頼を断ることも考えられますが、断りにくい相手の場合は、リファレンスチェック依頼者に代替手段を採用企業に提案してもらうことも選択肢の一つです。
採用候補者から採用企業に、推薦者の確保が困難として、追加書類の提出や適正テストの受検などの要望を出すことがあげられます。
リファレンスチェック同様の経歴詐称やミスマッチ防止に関する高い効果は期待できませんが、妥協案として受け入れてくれる可能性があります。
専門のWEBサービスの場合は簡単に実施できる
リファレンスチェックの回答依頼が専門のWEBサービスの場合は簡単に実施できることができるため、それほど面倒ではありません。
従来のメールや電話等のリファレンスチェックの場合は、本人確認手続きが煩雑な上、採用企業とのやりとりで時間の制約が大きく、面倒なものでした。
近年主流になりつつあるリファレンスチェック専門のWEBサービスでは、回答実施から提出までWEB上で10分ほどで完結するものもあります。
リファレンスチェックの回答依頼を受けた際は、実施方法を事前に聞いておくと良いでしょう。
リファレンスチェックへの回答依頼を受けた場合の注意点
リファレンスチェックへの回答時では、配慮すべきポイントや注意すべきポイントが存在します。
ここでは、3つのポイントに絞って解説します。
リファレンスチェックへ回答する場合の注意点➀:候補者の「ありのままの姿」を回答
第一に、採用候補者の「ありのままの姿」を回答することです。
いい印象を与えようと変に話を盛ったり、脚色を交えて話すのは避けましょう。
後々採用候補者本人と採用担当者でリファレンスチェックの結果をもとに面接を行うことフィードバックを行うことも多いため、話に齟齬があればすぐに気づかれてしまいます。
自分だけではなく自社全体の印象が悪くなりますし、採用候補者への不信感を、採用担当者に抱かせてしまいます。十分注意しておきましょう。
リファレンスチェックへ回答する場合の注意点②:候補者の具体的なエピソードを添えて回答
第二に、具体的なエピソードを添えて回答することです。
そのためには、数字や実績の読み上げにならないよう意識するのがポイントです。
なぜその実績が出せていたのか、どんなところに苦労していたのか、どうやって乗り切り、どんな評価を得ていたのかを順序立てて話せば十分なエピソードになりますので、試してみましょう。
リファレンスチェックへ回答する場合の注意点③:一般的な用語を使用して回答
第三に、一般的な用語を使用して回答することです。
同業にしか通じない専門用語は避け、もし使う場合でもも簡単な解説を入れるなど工夫しましょう。
「何を話していたのか分からなかった」となっては、リファレンスチェックの意義が損なわれてしまいます。
相手に伝わりやすい表現を意識するのがポイントです。
リファレンスチェックへの回答実施が難しいと感じた場合
リファレンスチェックへの回答を依頼されても、必ずしも対応できるとは限らないかと思います。ここでは、回答実施が難しいと感じた場合の対処法をお伝えします。
リファレンスチェックへの回答が難しい場合:回答を拒否しても問題ない
まず大前提として、リファレンスチェックの回答依頼は断っても問題ありません。
- 本業が忙しくて時間が取れない
- リファレンスチェックへの回答をプレッシャーに感じる
- 採用候補者の転職を応援できない(業務上の関わりが薄かった、狭かった)
という理由があり、断る人も一定います。
先方には「仕事が立て込んでおり、なかなか協力できるタイミングがない」「自分は適任ではないと思う」など率直に話し、丁重にお断りましょう。
リファレンスチェックへの回答が難しい場合:推薦者の可能な範囲で回答を実施
可能な範囲でリファレンスチェックに回答するのも、1つの手段です。
・協力はしたいものの、全ての項目には答えられない
・自分も既に退職しているので、正確なデータでお答えできない
などの事情があれば、依頼を受けた段階で先方に伝えておきましょう。
それでも是非協力してほしいということであれば、答えられる範囲で質問にお答えしてみてください。
無理に繕わず、率直に相談をするのがおすすめです。
リファレンスチェックへの回答依頼を受けた場合の実施方法まとめ
リファレンスチェックは、前職の上司や同僚に採用候補者の採用候補者の能力・人物像を聞いて選考に役立てる手法です。
自分を信頼して依頼してくれたということですから、無理のない範囲で協力するのがよいでしょう。
回答の際は、無理に印象をよくしようとしすぎず、ありのままの姿を率直に伝えるのが理想です。
転職成功の鍵となれば、退職後のつながりも切れずに繋がっていきそうですね。
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