少子高齢化が進み労働人口が減少するなか、優秀な人材の採用は企業にとって大きな課題となっています。自社に必要なスキルを持つ優秀な人材を採用する手法として、ワークサンプルテストの実施が有効的です。
とはいえワークサンプルテストを実施するには、多くの手間と時間が必要です。
上手く活用するためのポイントがわからず困っている採用担当者も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、ワークサンプルテストのメリットや実施のポイントを詳しく解説します。自社で活躍してくれる人材を採用するために、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- ワークサンプルテストとは
- ワークサンプルテストのメリット
- ワークサンプルテストの実施方法
- ワークサンプルテストを活用するポイント
- ワークサンプルテストの導入している企業事例
目次
ワークサンプルテストとは?【Googleも実施】
ワークサンプルテストとは、選考を受けている採用候補者に対して、入社後に携わる業務を体験してもらうことです。
採用候補者のスキルや適性を深く理解でき、採用において有効な判断材料になります。
ワークサンプルテストを実施する企業が増えている
労働人口の減少により有効求人倍率は上昇しており、どの企業も人手不足に悩まされています。人手不足を解消するためには、生産性高く働くことができる優秀な人材が重要視されると考えられます。
優秀な人材を就職に結びつけるためには採用候補者との接触タイミングを早め、自社の魅力をアピールする必要があるのです。これらを達成する場としてワークサンプルテストは注目を集めており、実施する企業も増加しています。
参考:職業紹介-都道府県別有効求人倍率:主要労働統計指標|労働政策研究・研修機構(JILPT)
Googleは「ピープルアナリティクス」を導入している
Googleは「どんなタスクにおいても最善の方法を見つけていく」という姿勢を大切にし、ピープルアナリティクスを導入しています。
これは構造化面接を実施したり、従業員に関する膨大なデータを収集・分析して人事や労務に活かしたりすることです。ピープルアナリティクス導入の一環として、ワークサンプルテストが実施されています。
参考:Google re:Work - ピープル アナリティクス
ワークサンプルテストを実施するタイミング・期間は?
ワークサンプルテストを実施するタイミングは1次、2次面接に合格した採用候補者を対象に、最終面接の直前に実施されるケースが多いです。
ワークサンプルテストを実施する期間としては、数時間から半日にかけて実施される場合と、1日かけて実施される場合があります。
ワークサンプルテスト実施のメリット
ワークサンプルテスト実施には、以下の3つのメリットがあります。
【ワークサンプルテスト実施のメリット】
- 採用面接の時間を有効活用できる
- 採用にかける工程数を減らせる
- 入社後のミスマッチを減らせる
順に解説していきます。
ワークサンプルテストのメリット1:採用面接の時間を有効活用できる
ワークサンプルテストでは、スキル面やコミュニケーション能力の判断が可能です。
そして、面接では価値観などの内面部分を中心に採用候補者に対する理解を深めます。
このように、ワークサンプルテストと面接の役割を分けることで、面接自体の質が向上し有意義な時間となるでしょう。
ワークサンプルテストのメリット2:採用にかける工数を減らせる
ワークサンプルテストは採用候補者について得られる情報量が多く、選考の判断材料を増やすことができます。また、仕事を体験してもらうことで実際のスキルが確認でき、内定者を決めやすくなります。
このように、ワークサンプルテストを実施することで通常の面接以上の情報量を得ることができるため、採用にかける工数を通常よりも減らすことができます。
ワークサンプルテストのメリット3:入社後のミスマッチを減らせる
ワークサンプルテストには、入社後の採用ミスマッチを減らす効果もあります。
内定前に実際の業務を体験してもらえば、採用候補者は働き方をイメージしやすくなり入社後にギャップを感じることも少なくなります。
離職率の低下やエンゲージメントの向上も期待できるでしょう。
ワークサンプルテスト実施のデメリット
ワークサンプルテストの実施は、いくつかのデメリットも考えられます。
【ワークサンプルテスト実施のデメリット】
- 採用のリードタイムが長くなる
- 選考辞退につながる場合がある
順に解説していきます。
ワークサンプルテストのデメリット1:採用のリードタイムが長くなる
ワークサンプルテストは、採用のリードタイムが長くなることがデメリットです。
ワークサンプルの資料は採用候補者に直接メールで送付しており、予約配信で遅い時間や土日祝日にも対応しています。
したがって採用候補者は休日に受験する人が多くなり、通過の連絡をしてから受験までの日にちが数日空いてしまうことになるのです。この状況だと、他社選考との兼ね合いで辞退されてしまうことも考えられます。
ワークサンプルテストのデメリット2:選考辞退につながる場合がある
ワークサンプルテストの実施により、選考を辞退してしまう採用候補者がいることもあります。
ワークサンプルテストは入社後の業務内容から問題を作るため、「内容を確認しても、働くイメージが湧かなかった」というケースもあるようです。
ワークサンプルテストを実施する際のポイント
ワークサンプルテストを実施する際は、以下の3つのポイントを意識しましょう。
【ワークサンプルテスト実施の際のポイント】
- 入社後の業務に近い内容を体験してもらう
- 評価項目を明確にする
- 採用候補者にフィードバックする
順に解説していきます。
ワークサンプルテストのポイント1:入社後の業務に近い内容を体験してもらう
ワークサンプルテストは、入社後の業務に近い内容を体験してもらいましょう。
採用候補者と採用企業の双方が、入社前後のギャップを埋めることができるためです。
自社の業務の適性があるか、スキルが十分発揮されているかなど、さまざまなことを確認できる良い機会となります。
ワークサンプルテストのポイント2:評価項目を明確にする
ワークサンプルテストを実施する際は、評価項目を明確にすることが重要です。
実際に働く中で必要なスキルを持っているか判断できる貴重な時間は、より有効的に使うべきです。
現場で活躍している社員にインタビューするなどして、必要な能力を細かく把握しておきましょう。
ワークサンプルテストのポイント3:採用候補者にフィードバックする
ワークサンプルテストの実施中は、採用候補者のフィードバックを怠らないように気をつけましょう。
選考プロセスのひとつとはいえ、入社後は貴重な戦力となる可能性があるからです。また採用が決まらなかった場合も「丁寧に対応してくれた」という採用候補者の口コミが広がれば自社のイメージアップにもつながります。
ワークサンプルテストの実施方法【職種別】
ワークサンプルテストは、職種によって実施するべき内容は異なります。ここでは4つの職種に分けて、それぞれの実施方法を紹介します。
今回解説する4つの職種は以下のとおりです。
- 営業職
- エンジニア・SE職
- 広報・マーケティング職
- 生産技術職
順に解説していきます。
ワークサンプルテストの実施方法【営業職】
営業職の場合は、自社の商品やサービスを想定し新規顧客獲得からクロージングまでの一連の流れを業務として取り組んでもらいます。
評価ポイントとしては、
- ターゲット設定の適切度
- プレゼン時のコミュニケーション能力や質問への回答力
などがあります。
ワークサンプルテストの実施方法【エンジニア・SE職】
エンジニアやSE職の場合は、システム開発に関わるシミュレーションやプロジェクトでイレギュラーで発生するエラーへの対応などを実施します。
評価ポイントとしては、
- 課題解決力
- メンバーとのコミュニケーション能力
- 要件定義への理解度
などがあります。
ワークサンプルテストの実施方法【広報・マーケティング職】
広報・マーケティング職の場合は、商品やサービスを想定して潜在顧客への認知向上から購入までの一連の流れをプレゼンしてもらいます。
評価ポイントとしては、
- ペルソナの設定
- 活用したチャネルの内容とその理由
- 効果測定の実施内容
などがあります。
ワークサンプルテストの実施方法【生産技術職】
生産技術職の場合は、製造コスト削減のための手法を考察しプレゼンしてもらいます。
評価ポイントとしては、
- 人員配置の仕方
- コストや時間管理への理解度
- 納期へのコミットメント
などがあります。
ワークサンプルテストを実施している企業事例
ここまでワークサンプルテストのメリット・デメリットや実施方法を解説しました。
以下では具体的にどのように導入するべきか知るために、ワークサンプルテストの企業事例をご紹介します。
今回ご紹介するのは以下の3社です。
【ワークサンプルテストの企業事例】
- Chatwork株式会社
- ラクスル株式会社
- ナイル株式会社
順に解説していきます。
ワークサンプルテストの実施例1:Chatwork株式会社
Chatwork株式会社では、最終面接の前にワークサンプルテストを実施しています。
企業の雰囲気や業務内容を、実際に働くことでより深く理解してもらうことが目的です。
ランチタイムは社員と一緒に過ごしてもらい、採用候補者がよりリラックスした状態で本音や疑問を素直に伝えられるような時間にしています。
参考:Chatworkが体験入社を行う3つの理由とは? | 仕事のリアルな情報が見られる転職サイト【体験入社】
ワークサンプルテストの実施例2:ラクスル株式会社
ラクスル株式会社は、印刷通信事業や物流サービス事業を展開しながら、自社の採用活動にも注力しています。採用活動に注力している理由は、事業の成功は人材の質が大きく影響しているという考え方を持っているためです。
中途採用の場合は、ワークサンプルテストとして半日インターンを実施しています。自社への共感やスキルが確認でき、採用ミスマッチを減らすための効果が十分に出ていると実感しています。
採用候補者は現職で働いている場合が多いため、希望する時間に合わせて夜に実施される場合もあるようです。
参考:ラクスル、FiNCが実践する「採用ミスマッチ」への予防策・対処法 | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION
ワークサンプルテストの実施例3:ナイル株式会社
ナイル株式会社は、デジタルマーケティングにおけるノウハウを武器としてビジネスを展開しています。
自社の認知度が低いことをうけ、ワークサンプルテストの導入を始めました。同社の実施内容としては、業務内容やキャリアパスの理解を深めるために、採用候補者には入社後の担当する予定の業務を模擬体験してもらいます。
ワークサンプルテストを通じて、働くイメージを持てるような機会や情報の提供を心がけています。
参考:「選考にも”ユーザー体験”を」マーケ出身人事の3つの取り組みが、理解促進とミスマッチ採用低減に繋がった | ナイルのかだん
ワークサンプルテストのメリットとワークサンプルテスト実施時ポイントまとめ
今回は、ワークサンプルテストのメリットや実際の際に気を付けるべきポイントを解説しました。
ワークサンプルテストの実施によって、採用候補者は入社後をイメージしやすくなり採用ミスマッチを減らす効果が期待できます。しかし採用活動にかかるリードタイムは伸びてしまうため、採用候補者に実施の目的と有用性を十分理解してもらうべきです。
お互いにとって、よりよい時間となるようなワークサンプルテストを工夫して準備しておきましょう。
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