「職歴詐称が発覚するのはどんな時?」「職歴詐称を事前に見抜く方法は?」
このような疑問を抱えていませんか?
実際、中途採用をしている採用企業の中には「採用時に想定していたスキルがなかった」「雇用形態や在籍期間が詐称されていた」などといった職歴詐称に直面していることも少なくありません。
このような職歴詐称を防ぐためには、職歴詐称の種類や職歴詐称の見抜き方を理解しておくことが重要です。
そこで本記事では、職歴詐称の種類の原因や職歴詐称を事前に見抜く方法、入社後に職歴詐称が発覚した場合の対処法などを解説します!
この記事でわかること
- 職歴詐称の種類7選
- 職歴詐称者を入社させるリスク
- 職歴詐称の防止・対処法
目次
職歴詐称の種類7選|雇用形態や在籍期間など
職歴詐称とは経歴詐称のひとつで、労働者(求職者)が職歴を偽ったり、隠したりすることをいいます。
職歴詐称の種類はさまざまですので、下記でご紹介します。
【職歴詐称の種類7選】
- 雇用形態の詐称・嘘
- 在籍期間の詐称・嘘
- 職位の詐称・嘘
- 業務内容の詐称・嘘
- 年収の詐称・嘘
- 転職回数の詐称・嘘
- 免許・資格の詐称・嘘
順に解説します。
1.雇用形態の詐称・嘘
アルバイトに従事した期間を正社員として従事したというように、雇用形態を偽ることもあります。
アルバイトやパートといった非正規雇用は、安定した職業につけない者といった先入観から、就職活動に不利な影響もあるため、雇用形態を偽る心理が働くことが原因でしょう。
2.在籍期間の詐称・嘘
短い在籍期間を隠ぺいしたり、空白期間を前後の職歴に含めるといった在籍期間の詐称もよくあるケースです。
短い職務経歴期間は、「仕事が続かない人」という印象を強く持たれてしまいます。とくに、短い職務経歴を繰り返している求職者は、すぐに辞められてしまうと判断され、極めて不利な職歴といえます。
3.職位の詐称・嘘
役職がない求職者が部長や課長など、自身の職位を高く偽ることもあります。
とくに、マネジメント経験を問うポジションの場合、経験がないにも拘らず、マネジメント経験を有しているといった詐称もあるでしょう。
しかし、役職がなくても、後輩や部下の管理業務があれば「マネジメント経験」といえる一面もあります。「マネジメント経験の有無」については、詐称の境界線がグレーといえますが、職位を偽ることは明らかな詐称です。
4.業務内容の詐称・嘘
自身のスキルを高く偽るため、経験していない業務内容を高く偽ることもあります。募集要項で必須条件とする業務内容について、経験を偽って応募することもあるでしょう。
業務経験を必須とした募集条件の場合、入社後に業務に対応できず発覚しやすいですが、入社後のポジションに直接関わりのない業務内容の場合は、発覚しづらいケースがあります。
5.年収の詐称・嘘
入社後の報酬を高くするため、実際より高く年収を偽るケースがあります。
採用企業は、なるべく従来の年収を下回らないよう配慮することも多く、採用企業に影響が大きい詐称のひとつです。
実際の入社時には、年末調整手続きで源泉徴収票の提出を求められた際、発覚するケースが多いでしょう。
6.転職回数の詐称・嘘
転職回数の多い求職者は、すぐに辞められてしまう者として判断されることが一般的です。
採用企業では、中途採用の基準として「転職回数は◯回以下」というように、転職回数の上限を定めていることが一般的です。
求職者は、採用基準に満たすよう、転職回数を少なく偽るケースが多くあります。
7.免許・資格の詐称・嘘
募集要項で、免許・資格を採用条件としているようなポジションで、免許や資格を偽って応募することがあります。
採用条件としていなくても、自身のスキルを高く偽るため、免許・資格を偽るケースもあるでしょう。
職歴詐称が発覚・バレる原因7選|こんな時に発覚する
職歴詐称は気づかないとリスクにもなりうるため、事前に見抜くことが重要です。
以下で職歴詐称が発覚・バレる原因を解説します。
【職歴詐称が発覚・バレる原因7選】
- 応募書類と面接内容の矛盾
- 雇用保険被保険者証
- 源泉徴収票
- 在籍証明書・退職証明書
- 年金手帳
- SNSの投稿
- 採用調査(リファレンスチェック・バックグラウンドチェック)
順に解説します。
1.応募書類と面接内容の矛盾
候補者は、自身をよく見せようと履歴書や職務経歴書で経歴を詐称することがあります。なかには、全く経験がない業務内容を実績として記載することもあるでしょう。
しかし、偽った経歴は、面接で深掘りされた場合に矛盾点が出るなどボロが出ることが多く、職歴詐称が発覚するケースがあります。
2.雇用保険被保険者証
候補者の入社手続きの際、採用企業は「被保険者番号」を確認するために、雇用保険被保険者証の写しを貰い受けます。
雇用保険被保険者証は、前職名が記載されている「雇用保険被保険者資格等確認通知書」が一体となっていることが一般的です。しかし、当該通知書の提出を拒む、あるいは切り離すなどの場合に、職歴詐称が発覚することもあります。
3.源泉徴収票
採用企業は、候補者の入社年度の年末調整で前職の所得や社会保険料控除を通算するため、源泉徴収票を貰い受ける必要があります。
この源泉徴収票には、前職企業名や年収が記載されていますが、確定申告をするなどを理由に提出を拒むなどの場合、職歴詐称の可能性があります。
4.在籍証明書・退職証明書
候補者が在職中の場合は「在職証明書」、退職済みの場合は「退職証明書」をそれぞれ提出を拒んだ場合、職歴詐称の可能性が高いと考えられます。
とくに退職証明書は、企業に発行義務があることから、提出できない理由はないことに留意が必要です。
5.年金手帳
採用企業は、基礎年金番号を把握するため、入社時に、年金手帳の写しを貰い受ける必要があります。
年金手帳は、年金加入記録が記載されているため、この加入記録から職歴詐称が発覚することもあります。
年金手帳は、再発行するといままでの記録は記載されません。そのため、再発行した年金手帳の提出があった場合は再発行の経緯を確認する、他の方法でも確認するなどが必要でしょう。
6.SNSの投稿
SNSで、候補者が勤務先企業に関する投稿をすることもあります。
勤務先の投稿内容と候補者の前職の内容に不整合が生じている場合、職歴詐称の可能性があります。応募書類に記載の勤務地や勤務期間などと照らし合わせるなどにより、一定の内容は検証可能です。
7.採用調査(リファレンスチェック・バックグラウンドチェック)
リファレンスチェックやバックグラウンドチェックによって、採用企業が採用調査を実施している場合、職歴詐称が発覚する可能性が高いでしょう。
リファレンスチェックは、上司や同僚など候補者に近い人物からヒアリング調査で、前職における詐称があった場合、発覚しやすいといえます。
バックグラウンドチェックは、主に調査会社によって、経歴に虚偽がないかなどを調べる採用調査で、過去の経歴全てが調査対象となります。
以下の記事では、リファレンスチェックのメリットや実施方法、質問内容などを解説しています。ぜひご覧ください。
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職歴詐称が発覚した場合の対処法
さまざまな理由で職歴詐称は発覚する可能性がありますが、万が一求職者が職歴詐称していた場合は、どのような対処をすれば良いのでしょうか。
職歴詐称が発覚した場合の対処法を解説します。
内定取り消しや懲戒解雇を検討する
日本の法律では、職歴詐称は重大性がない限り、内定取り消しや懲戒解雇は認められません。
その事実を認知していたら採用しないであろう重大な経歴詐称であって、経歴詐称が与える業務への影響度や動機などを踏まえ、内定取り消しや懲戒解雇を検討します。
懲戒解雇の場合は、就業規則に基づき、弁明の機会を与えるなど必要な手続きを経て、処分を決定します。
経歴詐称者の内定取り消し・懲戒解雇などの対応については以下の記事で詳しく解説しています。
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内定取り消し・懲戒解雇しない場合は?
職歴詐称が業務に大きな影響がないなどにより、退職を伴う処分でないケースでは、引き続き雇用し続ける必要があります。
ここでは、内定取り消し・解雇しない場合の対応を説明します。
【内定取り消し・解雇しない場合の対応】
- 減給するか否か検討する
- 職歴詐称を社内に公表するか決める
順を追って見ていきます。
減給するか否か検討する
減給する場合は、就業規則の懲戒処分事項として、減給が規定されていることが必要です。
経歴詐称の事象が就業規則の減給事由に該当するかを精査し、当てはまれば減給として処分手続きを実施します。当てはまらない場合でも、懲戒解雇事由に「重大な経歴詐称」の定めがある場合、この定めを準用し、減給に留めることも考えられます。
職歴詐称を社内に公表するか決める
企業秩序を保つため、問題行動を抑制する観点から経歴詐称の事実を知らしめることは有効でしょう。しかし、個人名を公表する場合、プライバシーの観点から労働者から名誉毀損等で訴えられるリスクもあります。
不必要な氏名公表は控えることとし、公表を検討する場合は、慎重に判断することが必要です。
職歴詐称が発覚しなかった場合もリスク・デメリットがある
仮に職歴詐称が発覚しなかった場合でも、採用企業にとってリスク・デメリットがあります。
たとえば、以下のようなリスク・デメリットです。
【職歴詐称のリスク・デメリット】
- 入社後にスキルが足りず業務が遂行できない
- 採用ミスマッチで早期離職の恐れ
- 求職者は罪悪感に襲われる
順に解説します。
入社後にスキルが足りず業務が遂行できない
職歴詐称が発覚しなかった場合、入社後のスキル不足で、業務が遂行できないリスクやデメリットが考えられます。
経験を積むことで、スキルが高まる場合は、時間の経過により解決することもありますが、能力不足の場合は、業務が立ち行かなくなる恐れがあります。
採用ミスマッチで早期離職の恐れ
候補者の職歴詐称によって、能力を発揮できなかった場合、採用ミスマッチによって早期離職の恐れが生じます。
とくに、能力不足で業務がままならないケースは、経歴詐称した負い目もあり、比較的早期に離職することが考えられます。
経験のない業務をあると偽っていたようなケースは、できるはずの業務が遂行できない致命的な採用ミスマッチといえるでしょう。
求職者は罪悪感に襲われる
候補者の経歴詐称によって、業務遂行がままならない場合や周囲に迷惑をかけるケースでは、候補者が負い目を感じ、罪悪感に襲われることも多くあるでしょう。
とくに、致命的な能力不足が露呈した場合、周囲から圧力がかかることも考えられます。
【求職者向け】職歴・学歴に自信がない場合の対処法
職歴・学歴に自信がない求職者の方の中には「職歴・学歴詐称した方が受かりやすいのではないか」と考える方もいるかもしれませんが、経歴詐称は避けましょう。
以下では、求職者向けに、職歴・学歴に自信がない場合の対処法を解説しますので、参考にしてください。
1.業務で工夫したことをアピールする
採用企業が面接で重視するポイントは、職歴や学歴だけではありません。候補者の意欲や志向性も重要な採用基準の一つです。
職歴や学歴に自信がない場合、業務で工夫したことをアピールすることで、意欲や前向きな志向性を訴求することが良いでしょう。
業務で工夫したことにより、どのような実績を上げることができたか、具体的に示すことが重要です。
2.20代の転職はポテンシャルが強みになる
20代の転職は、ポテンシャルが強みになります。とくに、20代前半の第二新卒の場合、未経験でもポテンシャルや価値観が重視される傾向にあります。
職歴や学歴に自信がなくても、20代の転職は、新しい分野に挑戦できるチャンスと捉え、ポテンシャルを強みに、積極的に転職活動をしましょう。
3.過去の経歴への後悔・反省と今後の姿勢を正直に話す
職歴や学歴に自信がなく、アピールする材料が少ない場合、過去の経歴への後悔のほか、反省と今後の姿勢を正直に話すことも考えられます。
過去の失敗から何を学んだか、反省を踏まえてどのように取り組んでいきたいかなど、前向きな姿勢をアピールすることが大切です。
4.転職エージェントに相談する
学歴や職歴に自信がなくても、候補者自身、その他の自分の良さに気づいていないことがあります。あるいは、相応しい業界・職種などを候補者が認識していないこともあるでしょう。
転職エージェントに相談することで、学歴、職歴以外の候補者自身も気づいていないアピールポイントや適性を見極めるなど、プロの視点におけるサポートが期待できます。
【求職者向け】ネガティブな職歴を上手くアピールする方法
求職者の中には「転職回数の多さや早期離職はネガティブな印象を与えるのはないか」と不安に思っている方も多いでしょう。
実際、伝え方によってはネガティブになるかもしれませんが、上手くアピールすることもできます。
以下では、ネガティブな職歴を上手くアピールする方法を解説します。
転職回数が多い場合
転職回数が多い場合、基本的には今の自分をアピールするため、直近在籍した企業のアピールをしましょう。
その他の経験企業については、多くても3社程度に絞り、概要を説明する程度が望まれます。
ただし、直近の一社が応募したポジションとは遠い経歴の場合、直近の一社に拘らず、応募ポジションに近しい勤務経験をアピールをすることがおすすめです。
早期離職で在籍期間が短い場合
早期離職で在籍期間が短い場合、またすぐに辞められてしまうと言う理由から、敬遠する企業は多くあります。なかには、書類選考で落とされることもあるでしょう。
退職理由が合理的であれば、事情を勘案して判断されることもあります。とくに早期離職で在籍期間が短い職歴については、退職理由を「一身上の都合」ではなく、合理的な退職理由と前向きな内容を記載することで、事情を考慮した選考をしてもらいやすいといえます。
フリーター期間が長い場合
フリーター期間が長い場合、定職につかずいい加減な印象を受けることもあります。とくに、目的意識がない場合、将来の計画性がないと判断されます。
将来に向けた準備期間として、例えば「資格試験の勉強に励んでいた」といった目的意識を持った結果であるというような、合理的な説明が必要でしょう。
キャリアを構築するための期間であったことをアピールしましょう。
無職の期間がある場合
無職の期間がある場合も、いい加減な印象を持たれやすいといえます。
他の理由と同様に、無職であったことの合理的な理由の説明が必要です。
「やむを得ない家庭の事情」「自身のキャリアアップに向けた学習」「納得いくまでの就活」など、無職であったことの合理的な説明によって、無職期間の事情を考慮してもらうようアピールしましょう。
職歴詐称に関するQ&A
ここまで、職歴詐称の種類や発覚するケース、対処法などを解説しました。
以下では、職歴詐称に関するよくある質問に回答します。
10年前や前々職の職歴も採用調査の対象?
採用企業の調査方法によって、どこまで調査対象としているかは異なります。 リファレンスチェックを実施している場合、基本的には直近に勤務した企業が対象ですが、バックグラウンドチェックの場合は、すべての期間が対象になることが一般的です。 応募書類や入社手続きで判明するような場合は、バックグラウンドチェックを実施していない企業でも発覚することが考えられます。厳しく見る企業では、過去数年分の源泉徴収票を提出させるケースもあります。
職歴が多い場合は省略しても問題ない?
職歴が多くても、履歴書や職務経歴書の職歴は省略することはできません。仮に、履歴書欄に収まりきらなくても、別紙化するなどにより、全ての職歴を記載する必要があります。 職歴を省略することによって、経歴詐称と判断される恐れがありますので、必ず全ての職歴を記入してください。
アルバイトの職歴を正社員だったことにすると詐称はバレる?
職が安定していない非正規社員より、安定している正社員の職歴が評価されることが一般的です。そのため、アルバイトを正社員だったと偽る経歴詐称が行われることもあるでしょう。 しかし、アルバイトを正社員だったと偽る経歴詐称は、比較的発覚しやすいです。アルバイトは収入の関係から国民年金に切り替えることが多く、年金手帳から発覚しやすいほか、源泉徴収票・雇用保険被保険者証などからも足がつきやすいでしょう。 リファレンスチェックやバックグラウンドチェックなどによっても、確実に発覚するといえます。
職歴詐称の種類と対処法まとめ
本記事では、職歴詐称の種類や対処方法について解説しました。
職歴詐称は採用企業が抱える悩みですが、事前に見抜くことも可能ですので、ぜひ本記事を参考にしてください。
最後に、職歴詐称の種類や対処方法をまとめます。
【職歴詐称の種類や対処方法まとめ】
- よくある職歴詐称は雇用形態・期間や転職回数
- 重大な職歴詐称は懲戒解雇・内定取り消しも可能
- 懲戒解雇・内定取り消しできない場合は減給などを検討
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