採用企業の中には「面接で自社に必要な人材を見抜けない」と、一度は悩んだことがあるのではないでしょうか?
面接において志望動機や自己PRなどありがちな質問ばかりしてしまうと、候補者の考え方や本質を十分把握できない可能性があります。
とはいえ、どのような工夫をすれば採用ミスマッチを防止でき、入社後に実力を発揮してくれる人材を採用できるのかわからない方も多いでしょう。
コンピテンシー面接は、通常の面接とは違い行動特性に基づいて候補者の本質を深く知ることができます。
今回はそんなコンピテンシー面接のメリットや実施の際のポイントについて詳しく解説します。
この記事でわかること
- コンピテンシー面接とは
- コンピテンシー面接のメリット
- コンピテンシー面接の実施方法
- コンピテンシー面接を活用するポイント
目次
コンピテンシー面接とは?
コンピテンシーとは、「業務や役割で優秀な成績を残す人に共通する行動特性」という意味です。
コンピテンシー面接は、この行動特性を採用の材料にする方法のことをいいます。
採用担当者の主観を除き評価のブレをなくすことで、求めるスキルや能力の正しい判断が可能です。
コンピテンシー面接を実施する目的
コンピテンシー面接を実施する目的は、以下の3つです。
【コンピテンシー面接を実施する目的】
- 候補者の思考や行動特性、そこから分かるスキルや能力を判断する
- 採用企業が求める人材か正しく判断する
- 採用担当者による評価のばらつきを防ぐ
このように客観的な材料を増やすことで、採用ミスマッチを減らす効果が期待できます。
コンピテンシー面接と従来の面接との違い
コンピテンシー面接と従来の面接の異なる点は、得られる情報の深さです。
通常の面接では志望動機や自己PR、将来像などを多角的に質問することができますが、候補者が答えを準備していたり時間が足りず少しの情報しか得られなかったりする可能性があります。
一方、コンピテンシー面接では一つの話題を掘り下げて質問していきます。
この方法では、行動動機や思考回路、実務能力など候補者の深い本質を客観的に見抜くことが可能です。
コンピテンシー面接を実施するメリット
ここまで、コンピテンシー面接の概要を大まかに解説しましたが「具体的にどのようなメリットがあるの?」と思っている方も多いでしょう。
コンピテンシー面接を実施するメリットは、4つ挙げられます。
【コンピテンシー面接を実施するメリット】
- 候補者の行動特性を正確に評価できる
- 候補者を一定の評価指標で評価できる
- 候補者の嘘・矛盾を見抜くことができる
- 採用ミスマッチが減り離職率低下につながる
順に解説していきます。
コンピテンシー面接のメリット1:候補者の行動特性を正確に評価できる
コンピテンシー面接では、候補者の能力や行動特性を正しく評価できます。
履歴書や通常の面接などでわかる学歴や年齢、志望動機などの表面的な項目では、行動特性を十分把握することは難しいでしょう。
過去の行動から掘り下げて質問をすることで潜在的な能力を見抜くことができ、現場が求める人材かどうか判断することが可能です。
コンピテンシー面接のメリット2:候補者を一定の評価指標で評価できる
コンピテンシー面接では全候補者を同じ基準で判断するので、採用担当者が異なっていても公正な選考ができます。
事前に採用企業内で必要としている人物像を共有しそれに沿った基準で評価すればよいので、難しい面接技術も不要です。
コンピテンシー面接のメリット3:候補者の嘘・矛盾を見抜くことができる
コンピテンシー面接では、過去の行動から深堀りして質問をしていきます。
そのため、あらかじめ準備していた回答や嘘が通用しない状況です。
実績の誇張や矛盾を見抜くことができるのも、コンピテンシー面接のメリットです。
コンピテンシー面接のメリット4:採用ミスマッチが減り離職率低下につながる
前述したようにコンピテンシー面接では候補者の本質を知った上で、採用を決定できます。
したがって選考基準を正しく設定すれば、入社後に実力が発揮できないなどの理由による離職を減らすことが可能です。
採用時に想定していた能力ではなかったり、カルチャーフィットしないことをは「採用ミスマッチ」といいます。
採用ミスマッチの原因や防止方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
-
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コンピテンシー面接を実施するデメリット
コンピテンシー面接には多くのメリットがありますが、デメリットもあります。
コンピテンシー面接を実施するデメリットは、以下の3つです。
【コンピテンシー面接のデメリット】
- 自社にコンピテンシーモデルがいない場合は評価指標が定まらない
- モデルとなる社員の行動特性を網羅できない可能性がある
- 職種ごとにコンピテンシーモデルを作る必要がある
順に解説していきます。
コンピテンシー面接のデメリット1:自社にコンピテンシーモデルがいない場合は評価指標が定まらない
コンピテンシー面接には、評価基準となるモデルが必要です。
採用企業にモデルになるような人物がいなければ、コンピテンシー面接の実施は難しいといえます。
コンピテンシー面接のデメリット2:モデルとなる社員の行動特性を網羅できない可能性がある
コンピテンシーモデルがいたとしても、その社員の行動すべてを把握できているとは限りません。
人柄やコミュニケーション能力、営業成績などは勤務中に把握できますが、休日の過ごし方や友人関係、勉強への取り組みなどプライベートな部分は知らないことの方が多いでしょう。
しかし、これらすべててがモデルの行動特性につながっているため、できるだけ知っておく必要があります。
コンピテンシー面接のデメリット3:職種ごとにコンピテンシーモデルを作る必要がある
コンピテンシーモデルは、職種や業務内容によって異なります。
それぞれのモデルを抽出し、具体的な行動特性を把握していなければなりません。
コンピテンシー面接は社員のコンピテンシーレベルの理解が重要
コンピテンシーの考え方を基準に採用を行う際はコンピテンシーレベルを理解し、モデルとなる社員がどの立ち位置にいるのか把握しておく必要があります。
コンピテンシーレベルとは、コンピテンシー5段階に分類したものです。
今回ご紹介する5つのコンピテンシーレベルは以下のとおりです。
【コンピテンシーレベル5段階】
- コンピテンシーレベル1:受動行動
- コンピテンシーレベル2:通常行動
- コンピテンシーレベル3:能動・主体的行動
- コンピテンシーレベル4:創造・課題解決行動
- コンピテンシーレベル5:パラダイム転換行動
順に解説していきます。
コンピテンシーレベル1:受動行動
コンピテンシーレベル1は、受動的な行動が多い社員のことを指します。
具体的には、
- 指示されたことだけ取り掛かる
- 意見や主張を言わない
などのタイプの人物です。
コンピテンシーレベル2:通常行動
コンピテンシーレベル2は、必要最低限の主体性はあるが創意工夫は見られない社員を指します。
具体的には、
- 状況を見て判断することはできる
- 気づいた時には行動する
- アイデアや意見は弱い
などです。
コンピテンシーレベル3:能動・主体的行動
コンピテンシーレベル3は、主体性や積極性がありリーダーとしての業務も行える社員を指します。
具体的には、
- 決められたルール内でアイデアを出す
- 正しい判断や行動を、周りと共有できる
などです。
明確な理由から、理論的に解決策を導き出すことができます。
コンピテンシーレベル4:創造・課題解決行動
コンピテンシーレベル4は、問題点を見つけ解決までのプロセスを考えて行動できる社員を指します。
具体的には、
- アイデアが具体的で独創的
- アイデアにより状況を変化させられる
などです。
コンピテンシーレベル5:パラダイム転換行動
コンピテンシーレベル5は、斬新な発想で成果を残す社員を指します。
具体的には、
- 固定概念を捨てられる
- 0からインパクトの大きいアイデアを生める
- 前例がなくてもゴールまでのプロセスを論理的に考えられる
などです。
コンピテンシー面接の質問例【行動面接(STAR面接)が効果的】
コンピテンシー面接は、質問の内容や流れがカギを握ります。
特に効果的なのは、STAR面接の実施です。
STAR面接の内容としては以下のとおりです。
【STAR面接の質問例】
- 状況(Situation)に関する質問
- 課題(Task)に関する質問
- 行動(Action)に関する質問
- 結果(Result)に関する質問
ここでは、STAR面接の状況・課題・行動・結果を分解し、それぞれの質問例をご紹介します。
コンピテンシー面接の質問例1:状況(Situation)を深堀る質問
まずは過去の出来事に関して、どのような状況だったのかを詳しく質問します。
【質問例】
- どのような組織でしたか?
- 組織の中でどのような役割・立場でしたか?
コンピテンシー面接の質問例2:課題(Task)を深堀る質問
次に、過去の経験の中での課題や困難について、質問します。
【質問例】
- その経験の中でどのような課題を見つけましたか?
- なぜその課題が発生したのですか?
コンピテンシー面接の質問例3:行動(Action)を深堀る質問
次に、課題や困難に対してどのような行動・施策を実施したか質問します。
【質問例】
- 課題を解決するために、どのようなことを実践しましたか?
- 課題解決の施策を実行する際に、工夫したことはありますか?
コンピテンシー面接の質問例4:結果(Result)を深堀る質問
最後に行動に基づく結果について、質問します。
【質問例】
- 課題を解決するに至って、得たものは何ですか?
- 成果を出した後の周囲の反応はどうでしたか?
コンピテンシー面接を活用するポイント
コンピテンシー面接を実施するなら、効果的に活用したいですよね。
コンピテンシー面接を上手く活用するためには、2つのポイントに気を付けておく必要があります。
【コンピテンシー面接を活用するポイント】
- 圧迫面接のような雰囲気にならないように注意する
- 他の選考手法も組み合わせて実施する
順に解説していきます。
コンピテンシー面接のポイント1:圧迫面接のような雰囲気にならないように注意する
コンピテンシー面接での質問内容や雰囲気が、圧迫面接のようになってはいけません。
圧迫面接とは、採用担当者が候補者に対して批判的な発言や答えにくい質問をする面接のことです。
コンピテンシー面接は質問を深堀りをしていくスタイルなので、問いかけ方次第では圧迫されているように感じる候補者もいるでしょう。
候補者の本質や本音を知るために、雰囲気づくりは重要だといえます。
コンピテンシー面接のポイント2:他の選考手法も組み合わせて実施する
コンピテンシー面接は、他の選考方法と併用することで候補者の情報をさらに深く知ることができます。
特に第三者から情報を聞き出すリファレンスチェックでは、客観的な評価など面接では分からない要素も把握できるのでおすすめです。
リファレンスチェックについては、こちらの記事をご覧ください。
-
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コンピテンシー面接のメリットとコンピテンシー面接の活用ポイントまとめ
今回はコンピテンシー面接のメリットや活用方法について解説しました。
コンピテンシー面接は、候補者の本質を知り本当に必要な人材を採用できる方法だといえます。
ただし、それぞれの部署でコンピテンシーモデルがいなければ実施できません。
モデルがいたとしても、行動特性をできるだけ把握しなければ採用基準の設定が困難です。
コンピテンシー面接を上手く活用するには、
- コンピテンシーモデルの行動特性を詳しく把握する
- 圧迫面接にならないように雰囲気づくりを大切にする
- リファレンスチェックなどを併用して情報を多く得ることを意識する
この3つを頭に入れておきましょう。
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