解雇や内定取り消しなど、深刻な問題に発展することもある、アルバイト・パート採用における経歴・学歴詐称。
中卒を高卒、高卒を大卒というように、学歴詐称をするケースもあります。
とくに、中学生であるにも拘らず高校生と偽って採用された場合、労働基準法に抵触するなど大きな問題に発展する可能性があるでしょう。
ここでは、アルバイト・パート採用の経歴詐称の具体例やバレる原因のほか、罪に問われる可能性、訴訟や解雇リスクについて解説します。
この記事でわかること
- アルバイト・パート採用における経歴詐称・学歴詐称の具体例3選
- アルバイト・パート採用で経歴詐称・嘘がバレる原因
- アルバイト・パート採用の経歴詐称・学歴詐称は罪になる?
目次
アルバイト・パート採用における経歴詐称の具体例3選
アルバイト・パートの求職者においても、実施されることがある経歴詐称。
ここでは、アルバイト・パート採用における経歴詐称の具体例を紹介します。
【アルバイト・パート採用における経歴詐称の具体例】
- 例1:中学生が年齢詐称をしてアルバイトに応募する
- 例2:履歴書に高校・大学中退を卒業と書く
- 例3:アルバイトの在籍期間を盛る
順に解説していきます。
例1:中学生が年齢詐称をしてアルバイトに応募する
労働基準法上、原則として、中学生に労働させることは禁じられています。
中学生が高校生と年齢を偽って、アルバイトに応募して就労することは、法律にも抵触する重大な経歴詐称であることに留意が必要です。
ただし、新聞配達など非工業的事業や映画制作・演劇事業は、一定の年齢を対象に労働基準監督署長の許可を得ることで、例外的に認められています。
例2:履歴書に高校・大学中退を卒業と書く
求職者自身の学歴を高く偽るため、履歴書上、高校中退を高卒、大学中退を大卒と、中退を卒業と偽るケースもあります。
「中退」という実績が根気や持続力がないないなど、企業の低評価につながる恐れがあると考え、求職者において、中退を卒業とする経歴詐称を実施することが大半です。
履歴書には虚偽なく記載し、中退せざるを得ない事情をしっかり説明することが重要です。
例3:アルバイトの在籍期間を盛る
アルバイト・パートの職を転々とし、それぞれ在籍期間が短い場合、短期に辞めた事実を隠すため、他のアルバイト・パート期間を通算するなど、在籍期間を多く盛るケースがあります。
アルバイト・パートの経験を重視するような求人の場合、アルバイト・パートの在籍期間を多く盛ることもあるでしょう。
このような在籍期間の虚偽も経歴詐称となります。
アルバイト・パートの職歴に関する詐称・嘘がバレる原因5選
アルバイト・パートの職歴に関する経歴詐称。どのような原因で発覚するのでしょうか?
ここでは、アルバイト・パートの職歴に関する詐称・嘘がバレる原因について紹介します。
【アルバイト・パートの職歴に関する詐称・嘘がバレる原因】
- 原因1:雇用保険被保険証の提出
- 原因2:年金手帳の提出
- 原因3:源泉徴収票の提出
- 原因4:自分自身の口から漏れてしまう
- 原因5:友人・知人経由で詐称・嘘がバレる
順に解説していきます。
原因1:雇用保険被保険証の提出
アルバイト・パートにおいても、週20時間以上働くなどの条件を満たした場合、雇用保険への加入義務があります。
雇用保険の加入条件を満たしたアルバイト・パートの入社手続きでは、「被保険者番号」を確認のため、雇用保険被保険者証の提出を求められます。
この際、前職情報が記載されている「雇用保険被保険者資格等確認通知書」も同時に提出を求められた場合、経歴詐称や嘘が発覚します。
原因2:年金手帳の提出
アルバイト・パートであっても、一定の条件を満たしている場合、厚生年金への加入義務が生じます。
厚生年金の加入手続きとして、基礎年金番号を確認するため、入社時に年金手帳の提出を求められます。
年金手帳に記載されている加入記録から、経歴詐称や嘘が明らかになります。年金手帳の提出を拒むなどの場合、採用企業から疑われる可能性が高いでしょう。
原因3:源泉徴収票の提出
採用企業は源泉徴収義務があり、求職者の前職所得を通算して、年末調整を実施します。
前職の所得を通算して年末調整を行うには、前職の源泉徴収票が必要なため、入社時に提出を求められます。
源泉徴収票には、前職の年収が記載されていますが、提出を拒んだ場合、年収を偽っていると疑われる可能性があります。
原因4:自分自身の口から漏れてしまう
入社手続きなどに問題が発覚しなかったとしても、求職者の入社後に自ら漏らしてしまうこともあります。
仕事の合間や飲み会などの会合の席で、身の上話をしたときに、経歴詐称や嘘に関する事実を漏らすようなケースです。
人とコミュニケーションを取り続ける以上、経歴詐称・嘘をつき続けることは困難なもので、日頃の会話などから発覚することも十分にあります。
原因5:友人・知人経由で詐称・嘘がバレる
経歴詐称や嘘がバレないように、自身が気を付けても、友人・知人経由で詐称や嘘が発覚することもあります。
アルバイト・パートの勤務先に、自身をよく知る友人・知人がいる場合、勤務先に自身の経歴や学歴に関する話が伝わるといったケースです。
日常的な会話や会合の席で、経歴詐称や嘘がバレることが多いでしょう。
アルバイト・パートの採用(履歴書・面接)で学歴詐称はバレる?
アルバイトやパートでも、実施されることもある学歴詐称。
正社員の採用とは違い、各種証明書類の提出を求めないことも多くありますが、あとから卒業証明書を求められるなどにより、履歴書の詐称が発覚することもあります。
採用面接の現場で深掘りした質問をされた場合、不自然な回答からバレることもあるでしょう。
経歴・学歴詐称はアルバイト・パート採用でも罪に問われる?
すぐさま犯罪行為にあたるとはいえない、経歴・学歴詐称。しかし、文書偽造罪や詐欺罪、軽犯罪法違反に当たる場合は、アルバイト・パート採用でも罪に問われる可能性があります。
たとえば、卒業証明書を改ざんするといった行為は「私文書偽造罪」、学位を保有しているといった行為は「軽犯罪法違反」、不正に資格手当を受給するといった行為は「詐欺罪」の対象になります。
以下の記事では、経歴詐称・学歴詐称の罪を詳しく説明していますので、参考にしてください。
経歴詐称・学歴詐称は犯罪?解雇・損害賠償などの対処法と事前に見抜く方法を解説
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経歴・学歴詐称が理由で損害を与えると訴えられる可能性も
自身の虚偽が原因で損害を与えると、訴えられる可能性もある経歴・学歴詐称。
刑事責任を問われなくても、損害賠償など民事責任を問われることもあります。
求職者の経歴詐称が原因で、第三者から損害賠償請求をなされているといったケースが考えられます。
刑事責任が生じる事案であっても、民事責任をも問われることもあるでしょう。
経歴・学歴詐称が発覚した場合はアルバイト・パートでも解雇される?
アルバイト・パートであっても、解雇されることもある経歴・学歴詐称。
雇用形態に拘らず、経歴詐称が就業規則の懲戒解雇の要件とされている場合は、懲戒解雇となる可能性があります。
裁判所の考え方に基づき、詐称がなければ採用しなかったといえる、重大な経歴詐称が解雇の対象となっています。
たとえ、アルバイト・パートの経歴詐称であるとはいえ、懲戒解雇の事実は、将来に大きく影響のある処分といえます。
アルバイト・パートの経歴詐称に関するQ&A
こでは、アルバイト・パートの経歴詐称に関する職歴に関するQ&Aを紹介します。
【アルバイト・パートの職歴に関する詐称・嘘がバレる原因】
- 質問1:アルバイト・パート採用の履歴書の学歴はどこから書くの?
- 質問2:アルバイトの経歴を調査されることはある
順に解説していきます。
質問1:アルバイト・パート採用の履歴書の学歴はどこから書くの?
いずれも、存在する職歴のうち、初めて経験した職歴を記載することが基本です。
学生のアルバイトの場合、一番最初に従事したアルバイトの職歴を記載することが求められます。ただし、パートの場合、新卒入社で正社員の職歴があるときは、学生時代のアルバイトの職歴は、割愛することか一般的です。
質問2:アルバイトの経歴を調査されることはある?
採用企業が自社で調査できるような範囲を除き、余程のことがない限り、調査されることがないと考えられます。
有期雇用の短時間労働者の採用判断においては、費用をかけて調査をするより、経歴に疑念が生じたら採用を見送ることで事足ります。
採用後に疑念が生じた場合は、必要に応じて調査を実施することもあるでしょう。
経歴・学歴詐称がアルバイト・パート採用でバレる原因まとめ
本記事では、アルバイト・パート採用における経歴詐称・学歴詐称の具体例や経歴詐称・嘘がバレる原因などを解説しました。
経歴詐称・学歴詐称は、アルバイト・パート採用でも解雇など重大な処分になりかねません。
本記事を参考に自身の発言や書類の内容が経歴詐称に該当しないか確認し、アルバイト・パートの採用に臨んでください。
最後に、経歴詐称・学歴詐称がアルバイト・パート採用でバレる要因をまとめます。
【経歴詐称・学歴詐称がアルバイト・パート採用でバレる要因】
- 提出書類によって経歴詐称がバレることがある
- 意図せず自分自身で漏れてしまうこともある
- 友人・知人経由でバレる場合もある