「人材の採用が上手くいかない」「入社しても、すぐ離職してしまう」このような悩みを抱えている採用企業は、採用CXを見直す必要があります。
採用CXとは、採用候補者が採用企業を認知して選考・入社に至るまでの候補者体験のことです。
とはいえ採用CXにおけるタッチポイント(体験)は数多く存在し、どの項目を優先して見直すべきなのかわからないですよね。
今回は、採用CXの概要や改善方法について解説します。採用CXの概要や注力するメリット、導入事例も紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 採用CXとは
- 採用CXのメリット
- 採用CXの全体像【5つのタッチポイント】
- 採用CXを改善する施策
- 採用CXの導入企業事例
目次
採用CX(Candidate Experience)とは
採用CXとは候補者体験(Candidate Experience)の略で、採用候補者が企業を認知し入社に至るまでに起こる体験全てを指します。
採用力の向上のためには、この採用CXの設計が重要です。
採用CX(Candidate Experience)が注目されている背景
採用CXが注目されている背景としては、以下の4つが考えられます。
【採用CXが注目されている背景】
- 人口減少・少子高齢化による有効求人倍率の上昇
- 終身雇用制度の崩壊による人材の流動化
- インターネットの普及による採用情報の透明化
- 善しづらい採用ミスマッチ
順に解説していきます。
採用CXの背景1:人口減少・少子高齢化による有効求人倍率の上昇
採用CXが重視される背景として、労働人口が減少していることが挙げられます。
少子高齢化により、労働人口はさらに減り続けているのが現状です。そのため、求職者1人あたり何件の求人があるかを示す有効求人倍率は、2021年8月現在1.04倍とこれまでより高い値となっています(※1)。
最近は常に有効求人倍率が上昇傾向にあり、複数社で1人の求職者を取り合うような状況です。
採用CXの背景2:終身雇用制度の崩壊による人材の流動化
長期にわたる不景気や成果主義を重視する企業が増えたことにより、終身雇用制度は崩壊へ向かっているといわれています。
そのため労働者は実力が十分発揮できる職場を求めており、転職が当たり前の時代となりました。
これまで人材獲得に苦労していなかった大企業も、今後は採用活動により注力する必要があります。
採用CXの背景3:インターネットの普及による採用情報の透明化
最近はインターネットが普及し、SNSや口コミにより採用情報は透明化しています。
実際に働く社員の声や採用担当者の対応などが、採用候補者の耳に入りやすい環境です。採用企業はこの現状を上手く利用すれば、自社の魅力をより多く発信できるでしょう。
逆に、マイナスのイメージが少しでもついてしまうと、採用活動に支障をきたします。
採用CXの背景4:改善しづらい採用ミスマッチ
採用CXが注目される理由として、採用ミスマッチの増加が挙げられます。
採用ミスマッチとは、入社前後で採用企業・採用候補者の認識や価値観にギャップがあることです。
ミスマッチが起こると社員が実力を十分発揮できなかったり、離職したりする可能性が高くなります。採用CXの設計を工夫して優秀な人材を採用できれば、採用ミスマッチが減る効果も期待できるでしょう。
採用ミスマッチについては、以下の記事で詳しく解説しております。ぜひご覧ください。
新卒・中途の採用ミスマッチを防止するには?採用ミスマッチの原因・対策方法
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採用CX(Candidate Experience)のメリット3選
採用CXを重視するメリットとしては、以下の3つが考えられます。
【採用CXのメリット】
- 将来的に採用候補者が再応募してくれる場合がある
- 採用候補者による自社の認知拡大が見込める
- エンゲージメントの高い人材が集まり、ブランディングに繋がる
順に解説していきます。
採用CXのメリット1:将来的に採用候補者が再応募してくれる場合がある
採用CXを工夫することで、将来的に採用候補者が応募を検討してくれる場合があります。
期待を超える体験価値を提供されれば採用企業に対して良いイメージを抱き、あとから「あの企業に入社してみようかな」と思い返すことがあるからです。
長期的な目で考えても、採用CXを工夫することは採用企業に大きなメリットをもたらします。
採用CXのメリット2:採用候補者による自社の認知拡大が見込める
採用CXを重視しておくことで、採用候補者がSNSなどで自社の認知度を上げてくれる可能性があります。
認知が拡大すれば応募者数も増えるので、その分優秀な人材を見つけやすくなるでしょう。求人広告費をかけずに優秀な人材を採用できるのは、採用企業にとって嬉しいメリットです。
採用CXのメリット3:エンゲージメントの高い人材が集まり、ブランディングに繋がる
採用CXを充実させることで、採用候補者の企業に対するイメージは向上し好感を持って入社してくれます。
自社に対する信頼度やエンゲージメントが高くなると、比例して社員が活躍する可能性が広がります。活躍社員が増えると、「優秀な社員が多い」といったようなブランディングにもつながります。
採用CX(Candidate Experience)の全体像【5つのタッチポイント】
採用CXにおいて、採用候補者とのタッチポイントは5つのフェーズに分かれます。
【採用CXのタッチポイント】
- 採用企業が事前準備をする
- 採用候補者に自社を認知してもらう
- 採用候補者に自社の選考へ応募してもらう
- 採用候補者の選考を進める
- 内定から入社までフォローする
採用CXのタッチポイント1:採用企業が事前準備をする
まずは採用活動の前に、KPI・KGIから逆算した求める人材を明確化し、重視するスキルやマインドを共有します。
【タッチポイント1:事前準備】
- 事業理解
- 自社の魅力をまとめる
- 採用計画作成
- ペルソナの設定
- 採用基準の設定
- 面接官のロープレ
採用CXのタッチポイント2:採用候補者に自社を認知してもらう
採用企業は自社の魅力や強みを知ってもらい、応募へ繋がるよう工夫しましょう。
【タッチポイント2:認知】
- 組織や事業内容に関するインタビュー記事
- 求人広告・採用サイト
- プレスリリース
- メディアへの露出
- 社員によるSNS
- YouTube
- 自社イベント・交流会
採用CXのタッチポイント3:採用候補者に自社の選考へ応募してもらう
採用候補者に応募してもらった際には、
- レスポンスを早くすること
- コミュニケーションを大切にすること
この2つを意識しましょう。
採用候補者は複数の採用企業に応募している可能性が高いので、採用プロセスにおける企業側の対応によって入社してもらえるかどうか決まります。
【タッチポイント3:応募】
- 求人票
- スカウトメール
- リファラル
- 人材紹介
- SNSのDM
- 応募フォーム
- 採用担当者からの返信
採用CXのタッチポイント4:採用候補者の選考を進める
応募者が決まったら、選考が始まります。
ここでのタッチポイントは今後の採用CXに大きく影響するので、工夫や準備が必要です。
【タッチポイント4:選考】
- 社員の対応や挨拶
- オフィスの雰囲気や内装
- 面接官の質問
- 面接時の雰囲気
- 1日体験入社
- 選考中のコミュニケーション
- Web面接の仕方
採用CXのタッチポイント5:内定から入社までフォローする
内定が決まり、入社するまでの期間も採用候補者との関わり方は慎重に行いましょう。
採用候補者は複数社から内定をもらっている可能性があります。内定承諾につながるよう、丁寧なフォローやケアが大切です。
【タッチポイント5:内定後~入社】
- 条件交渉
- 内定通知
- 内定フォロー
- 社内イベント参加
- 入社前研修
採用CX(Candidate Experience)を改善する6つの施策
採用CXは全てのタッチポイントを工夫し改善していく必要がありますが、全てを一度にクリアするのは難しいでしょう。
まずは今回紹介する6つの施策を達成するよう意識してみてください。
【採用CX改善の施策】
- 採用候補者への対応はスピーディーにする
- 会社説明会の前に会社紹介資料を事前配布する
- 社員同士で面接ロープレを実施する
- 面接前にアイスブレイクを実施する
- 内定通知時は採用候補者を盛大に祝う
- 採用管理システム(ATS)を活用する
順に解説していきます。
採用CXの施策1:採用候補者への対応はスピーディーにする
採用候補者への返事や対応は、できるだけ迅速に行いましょう。
対応が早いと、採用候補者からの信頼にもつながるでしょう。
採用CXの施策2:会社説明会の前に会社紹介資料を事前配布する
採用企業は、会社説明会の前に資料を配布しておきましょう。
説明会では、資料を確認したものとして質疑応答からスタートさせます。
そうすることで採用候補者の疑問点をより深く解決できたり自社の魅力を多く伝えられたりと、より充実した時間になるでしょう。
採用CXの施策3:社員同士で面接ロープレを実施する
面接を実施する前に、社員同士でロールプレイングを実施し話し方や立ち振る舞いを細かくチェックしましょう。
採用候補者からよく聞かれる質問をまとめ、面接官全員が答えられるように共有しておくと、より面接の質を上げられます。
採用CXの施策4:面接前にアイスブレイクを実施する
面接前にはアイスブレイクを実施し、採用候補者の緊張をできるだけ和らげてあげましょう。
リラックスした雰囲気は、採用候補者の本音を聞き出しやすくなります。
採用CXの施策5:内定通知時は採用候補者を盛大に祝う
内定が決定した採用候補者に連絡する際は、入社を歓迎している旨を十分伝えましょう。
候補者の入社意欲が高まり、内定辞退防止にもつながります。
採用CXの施策6:採用管理システム(ATS)を活用する
採用CXには、採用管理システム(ATS)を活用することもおすすめです。
ATSとは応募から採用に至るまでのプロセスを一括で管理できるシステムのことで、以下のようなことが可能です。
- 求人管理
- 採用候補者の情報管理
- 選考管理
- 内定者管理
システム導入により採用業務における手間が減り、人件費削減も期待できます。
採用CX(Candidate Experience)の導入事例
採用CXを導入している企業を、3社ご紹介します。
【採用CXの導入事例】
- 株式会社セールスフォース・ドットコム
- 株式会社メルカリ
- Airbnb,inc
順に解説していきます。
採用CXの事例1:株式会社セールスフォース・ドットコム
株式会社セールスフォース・ドットコムは、面接官のトレーニングや適性検査ツールの活用により、採用候補者をより公平に選考することを可能としています。
収益を増やし業績を向上させるには、自社に対する社員の満足度が重要だという考えに基づくものです。
参考:従業員体験と顧客満足度の向上が増収スピードを1.8倍に高める理由
採用CXの事例2:株式会社メルカリ
株式会社メルカリは年々増加する面接官の採用基準を統一させるために採用活動を仕組み化し、ミッション共感・バリュー体現・カルチャーフィットを3大ポイントとしてガイドラインを作成しました。
面接官のトレーニングや採用候補者へのアンケートによるフィードバックを行うことで、合否に関わらず「エントリーしてよかった」と思ってもらえる企業を目指しています。
参考:面接官100名超の共通言語をつくる!「CX」の最大化を目指す、メルカリの取り組みとは
採用CXの事例3:Airbnb,inc.
Airbnb,inc.は、企業の魅力を採用力に変えられるよう採用CXに注力しています。
同社では以下のような公正で客観的な判断ができる仕組みを構築しています。
- 評価指標を社員に共有し、多面的な評価ができる体制を整備
- スキルフィットとカルチャーフィットの評価者を分け、担当者間のバイアスを排除
参考:https://hear.co.jp/dlsi/DXWPairbnb.pdf
採用CXで候補者体験を向上させるメリットと採用CXのタッチポイントまとめ
今回は採用CXに注力するメリットや、タッチポイントについての解説しました。。
採用CXを工夫することで、採用企業の信頼度や認知度が向上し、優秀な人材が集まる可能性が高まります。
しかし、採用CXにおけるタッチポイントは非常に多いため、まずはいくつかに絞って実行することがおすすめです。
より採用活動を成功させるために、採用CXをより重視してみてはいかがでしょうか。
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