さらなる企業成長のために、多様な価値観を持つ人材を必要とする企業が増加しています。
採用企業にとって必要な人材を採用するために、偏見や先入観をなくした状態で選考するブラインド採用の導入は非常に効果的です。
しかし、これまでの採用方法より判断材料が少なく時間がかかってしまうというデメリットからなかなか導入に踏み込めない採用企業も多いのではないでしょうか?
今回はブラインド採用を導入する際のメリットや、実施方法について解説します。
効率化を図りつつ採用ミスマッチを減らすためのポイントもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- ブラインド採用とは
- ブラインド採用のメリット
- ブラインド採用の実施方法
- ブラインド採用のポイント
目次
ブラインド採用とは?
ブラインド採用とは選考過程で個人情報を取り除き、能力やスキルのみで評価する採用方法です。
偏見や先入観をなくした状態で判断できるので、採用企業にとって本当に必要な人材を見つけることができます。
ブラインド採用はなぜ注目されているのか
ブラインド採用が注目されているのは、採用企業が社員に多様性を求めるようになっているためです。
これまでは「企業としていかに安定しているか」が重視されていたので、同じ意見を持つ人材を積極的に採用していました。
しかし、今後は変化が激しい時代であるため、新たなアイデアこそが企業の成長に繋がるといえます。
同じ価値観を持つ社員だけでなく、異なるバックグラウンドを持つ多様な人材が必要とされ始めているのです。
ブラインド採用は海外で積極的に導入されている
ブラインド採用はアメリカや韓国などで積極的に導入されており、その理由は各国の背景にあります。
アメリカは地域によって男女差別や人種差別が根強く残っており、社会問題となっています。ブラインド採用はこのような偏見がない状態で選考を実施できるので、雇用機会の不平等を防ぐ効果が高いといえるでしょう。
また韓国は超学歴社会と言われており、これまでは有名大学を出ていないと大企業への就職は難しいとされていました。そこでムン・ジェイン大統領は2017年6月、若年層に公正なスタートラインを保証するため公務員や公共団体などにブラインド採用の導入を指示しています。
学歴や出身地、家族関係などの項目は削除され、採用候補者の本質的な実績や人柄重視の採用が始まったのです。
ブラインド採用を導入するメリット
ブラインド採用の導入には、3つのメリットがあります。
【ブラインド採用のメリット】
- 多様性のある人材を採用できる
- 優秀な人材を採用できる
- 一定の評価基準で公平に採用できる
順に解説していきます。
ブラインド採用のメリット1:多様性のある人材を採用できる
ブラインド採用の導入により、さまざまな価値観を持った人材を採用できます。
これまでは採用担当者の先入観や偏見により、同じような雰囲気や実力を持つ人ばかり集まってしまうことが少なくありませんでした。
多様性は採用企業の成長にとって欠かせない要素だといえるため、長い目で見ても導入するメリットは大きいと考えられます。
ブラインド採用のメリット2:優秀な人材を採用できる
学歴や職歴は実際のスキルと一致しないこともあるため、真に優秀な人材を採用するためにはブラインド採用が有効的だといえます。
書類で分かる肩書きではなく面接での回答や採用企業に対する想いを重視すれば、入社後に成果を上げてくれる採用候補者を見つけられるでしょう。
ブラインド採用のメリット3:一定の評価基準で公平に採用できる
ブラインド採用は先入観や偏見にとらわれない、公平な評価基準で判断できるといえます。
一般的な採用方法では、どんなにスキルがあっても採用担当者の先入観や偏見が影響されてしまうことも。
採用企業が本当に必要とする基準を明確にすることで、採用ミスマッチの減少が期待できます。
ブラインド採用を導入するデメリット
メリットが多いブラインド採用ですが、デメリットもあります。
ブラインド採用を導入するデメリットは以下のとおりです。
【ブラインド採用のデメリット】
- 採用のミスマッチが起こりやすい
- 採用活動が長くなりやすい
- 性別や年齢の偏りが大きくなりやすい
順に解説していきます。
ブラインド採用のデメリット1:採用のミスマッチが起こりやすい
ブラインド採用は学歴や職歴などを材料にできないので、判断が難しく採用ミスマッチを起こす可能性はゼロではありません。
多様性を重視しすぎるあまり、社風に合わなかったり他の社員と馴染めなかったりすると離職に繋がる場合もあります。
ブラインド採用のデメリット2:採用活動が長くなりやすい
上記で述べたようにブラインド採用は判断材料が少ないため、採用活動にかける時間が長くなりやすい傾向にあります。
面接回数が増えたり1人当たりの面接時間が長くなったりするだけでなく、社員同士で意見が上手くまとまらないこともあるからです。
ブラインド採用のデメリット3:性別や年齢の偏りが大きくなりやすい
個人情報や肩書きを排除して判断するブラインド採用は、最終的に採用した人材に偏りが出てしまうことがあります。
「男性社員の人数が増えてしまった」「過半数が20代の社員となった」など社内の年齢層や性別のバランスは取りづらくなると考えられます。
ブラインド採用の実施方法【具体的なやり方を解説】
自社に必要な人材を確実に採用するために、ブラインド採用の実施方法を3つのポイントに分けて解説します。
【ブラインド採用の実施方法】
- 採用担当と事務処理担当を分ける
- ブラインド採用専用の書類を用意する
- パーテーションやボイスチェンジャーを使用して面接を実施する
順に解説していきます。
ブラインド採用の実施方法1:採用担当と事務処理担当を分ける
ブラインド採用を実施する際は、採用業務と事務処理は分担するべきだといえます。
採用担当と事務処理担当が同じである場合、応募時の履歴書等を採用担当が見なければならずブラインド採用が成り立たないからです。
ブラインド採用が確実に実施できる環境を、社内全体で作る必要があります。
ブラインド採用の実施方法2:ブラインド採用専用の書類を用意する
ブラインド採用を実施する際は、専用の書類を用意する必要があります。
名前や性別、経歴等が記載してある通常の応募書類を採用担当者が確認してしまうと、ブラインド採用とはいえなくなるからです。
選考の材料となる情報のみ記載してある書類を、あらかじめ準備しておきましょう。
ブラインド採用の実施方法3:パーテーションやボイスチェンジャーを使用して面接を実施する
先入観や偏見をゼロにした状態で面接するためには、パーテーションやボイスチェンジャーの使用も効果的です。
人はどんなに意識していても、気づかないうちに外見や話し方で判断してしまうことがあるからです。
学歴や職歴などは書類を確認しなければシャットダウンできますが、面接においてもこのような工夫が必要だといえます。
ブラインド採用を導入する際のポイント
前述したブラインド採用のデメリットをカバーするために、以下のようなポイントに気を付けましょう。
【ブラインド採用を導入する際のポイント】
- 多様性を受け入れる企業風土を形成する
- 採用基準を明確にする
- 他の選考手法を組み合わせて採用活動を効率化する
それぞれについて、詳しく解説していきます。
ブラインド採用のポイント1:多様性を受け入れる企業風土を形成する
ブラインド採用のメリットは多様性を広げられることですが、既存の社員がその風土を受け入れてこそ有意義だといえます。
同じ価値観を持つ社員同士の方が働きやすい部分はあるかと思いますが、採用企業の成長に必要なのは新しいアイデアや考えです。
社員同士が頻繁にコミュニケーションを取り、同じ目標に向かっていることを意識させることができればブラインド採用の強みを十分活かせるでしょう。
ブラインド採用のポイント2:採用基準を明確にする
ブラインド採用の導入時は、明確な採用基準を設けておくことが大切です。
多様性を大切にするといっても、入社した採用候補者は企業の雰囲気に馴染めなければ実力を発揮できません。
基準項目はできるだけ細分化して社内で共有し、必要な人材を確実に採用できる体制を整えておきましょう。
また、基準を設けることで、採用担当者が異なる場合も同じような選考が可能です。
ブラインド採用のポイント3:他の選考手法を組み合わせて採用活動を効率化する
ブラインド採用のデメリットは、選考の際の判断材料が少なく採用活動に時間がかかること、人材の属性に偏りが出る可能性があることです。
そこで、効率よく採用業務を行うために、他の選考手法と組み合わせて活用することをおすすめします。
中でも、リファレンスチェックを利用すれば第三者からの客観的な意見を参考にすることができ、ミスマッチを減らすことができます。
ブラインド採用のメリットとブラインド採用を導入するポイントまとめ
今回はブラインド採用のメリットやデメリット、導入の際のポイントについて解説しました。
多様性が求められる時代となり、先入観や偏見をなくした状態で採用業務を実施することが重要となってきています。
ブラインド採用の実施はその目標に対して非常に効果的で、今後も導入する採用企業は増加するでしょう。
ただし、ブラインド採用を実施するには、
- 多様性が認められる社風を築くこと
- 採用基準を明確にしたり他の採用方法と併用したりして業務の効率化を図ること
これらが重要なポイントとなります。
判断材料が少ないブラインド採用だからこそ、労力や時間をかけすぎないように意識して採用活動を行いましょう。
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